記憶を求めて 2【時透無一郎】 (ページ49)

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98.招集ページ49

「という訳で、別に何か進展があった訳でもなんでもなくて！………分かってもらえました？」

翌日、蜜璃ちゃんから「緊急召集」と言う名のお誘いが掛かっていつもの甘味処へやって来た。

昨日の誤解を解くべく、順を追って説明すると頷いたり、照れたり、キュンとしたりしながら話を聞いてくれた蜜璃ちゃん。

「それにしても重症ね」

「重症？」

「ほら、前に言ったじゃない？無一郎くんが嫉妬してるって話」

「あぁ、そうでしたね！」

頷けば「Aちゃん愛されてるわね～。羨ましいわ」なんて頬にてを添えてきゃっきゃっと楽しそうな蜜璃ちゃん。

「どうですかね…？肝心なことははぐらかされてしまったから、………分かりません」

目を伏せて言えば、彼女が眉を歪める。

「Aちゃん………」

はぁ、と一つため息をついてお団子に手を伸ばせば、桜餅を頬張っていた蜜璃ちゃんが「そうだわ」と閃いたとばかりに声をあげた。

「私、良いこと思い付いたかもしれない！」

「良いこと？」

聞き返せば、ふふふっと彼女が笑う。

「丁度いい機会だし、私に任せて！」

「え？」

何々？どういうこと？と首を傾げる私を他所に蜜璃ちゃんの中でどんどん話が決まっていく。

「少し時間が必要だけれど、準備が出来たらAちゃんのこと迎えに行くから、待っててもらえるかしら？」

「えっと……？分かりました」

「楽しみだわ～！」

結局、その日は何を思い付いたのか教えてもらえなかった。

そして、二日後。

いつものように午前中は蝶屋敷でお手伝いをしていると、それは突然やって来た！

「Aさんお客様です」と言ったきよちゃんに連れられて洗濯物を干していた私の前に現れた蜜璃ちゃん。

「蜜璃ちゃん、こんな時間に珍しいですね。どうしたんですか？」

聞けば、楽しそうに彼女が笑う。

「突然だけれどAちゃん、今から貴女を誘拐します！！」

「え？」

一瞬言われている意味が分からなかった。

その場にいたきよちゃんとアオイさんもびっくりした様子で目を丸くする。

「えぇっ！？」

私の驚いた声が一度だけ蝶屋敷の庭に響いた。