41.意外な再開 ページ41
数時間後、屋敷に数名の隠の方がやって来た。
宇髄さんが言っていた『手配済み』ってこういうことだったの！？
これ大丈夫！？
公私混同してない！？
と縁側で立ち尽くしていると、庭から声をかけられた。
「どうも」
見慣れない人だった。
誰かは分からないけれどとりあえず、私も同じ言葉で挨拶を返す。
「ど、どうも…？」
「後藤です」
名前を聞いて驚いて声をあげる。
「え！もしかしてあの日、蝶屋敷まで運んでくださった後藤さん！？」
側にいた無一郎くんが不思議そうに私達を交互に見た。
「なに？君たち知り合い？」
「えっと、後藤さんは私が鬼に襲われたときに手当てして蝶屋敷まで運んでくれた方なんです」
「へぇ………」
ぼんやりとした視線を向けてくる無一郎くん。
これはたぶん、覚えていないな…と悟る。
「霞柱様、ご挨拶遅れ申し訳ありません。鬼殺隊、事後処理部隊の後藤です」
「そう。まぁ、頼んだよ」
丁寧に挨拶をした後藤さんを他所に、無一郎くんはどこかへ行ってしまう。
「ちょっ、無一郎くん！？」
呼び掛けても振り返る素振りもない。
興味がないと言うことかな？
「後藤さん、すみません。悪気はない筈なんですけど」
ペコペコと無一郎くんの代わりに頭を下げる。
「あ、慣れてるんで」
無一郎くんの態度は熟知済みなのか、後藤さんはなんとも思ってなさそうだった。
「あの、その節は蝶屋敷まで運んで頂き、ありがとうございました。後藤さんだと直ぐに気が付かなくてすみません」
「こんなの付けてるし、目元しか見えないから仕方ねぇだろうよ」
と自身の口元の布を摘まむ。
「因みに、Aちゃんは覚えてないだろうけど、蝶屋敷に炭治郎を運んできたのも俺な。ほらあの日、黄色い頭の奴が騒いでたとき居ただろ」
「え！？じゃあ私たち会うのは3度目だったんですね！」
意外な縁に会話が弾む。
けれど、これから作業してもらうためずっとお喋りをしているわけにもいかない。
私たちは適当なところで会話を切り上げた。
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作者名：月見 | 作成日時：2020年9月13日 22時
