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37.宴の訳 ページ37

「無一郎くん、宇髄さん起きてください」

ゆさゆさと2人の体を揺らすけれど、一向に起きない。

「不死川さんも、そんなことろで寝たら風邪引きますよ」

お皿を洗って台所を片付けて。
自分と彼ら2人の部屋を用意して戻ると、居間で3人がぐすっり眠りに落ちていた。

私が色々と準備している間もお酒を飲んでいたようで、大きな酒樽はぼぼ空になっている。

大人の男性を運べるほど力もないので、どうしたものか…と悩んでいると無一郎くんが起きた。

「無闇に起こさない方がいいよ…」
「無一郎くん」
「殺気を感じたら反射的に手が出るタイプだからね、2人とも」

「反射的に…」

その言葉に先ほどの2人の戦いぶりを思い出して、バッと2人から飛び退いて距離を取る。

「ビビりすぎ」
「だだだだ、だって、さっきの戦い凄かったから!」

「流石に寝起きじゃあんな野蛮な攻撃できないよ」

「誰が野蛮だァ」

無一郎くんの言葉にガバッと不死川さんが飛び起きた。

「あ起きた」

「ったく、こいつにも困ったもんだァ」

と、未だにぐっすり眠っている宇髄さんを見る。

「見ろよォ」と顎で机の上を示す。

宇髄さんの座っていた席には、徳利が2つあってそのうち1つには全く口がつけられていない。

これって…もしかして………

「見回り入ってない奴だけ集めてよォ。しんみりしちまうのかと思ったけど意外と楽しく呑めたなァ」

静かに眠る宇髄さんを見つめる。
表には出してなかったけれど、意外と仲間思いなんだ。

「…僕、何も聞いてなかったんですけど」

「あァ?どうせ言っても忘れちまうから言ってねェんだろ」

なるほど一理ありそう。
なんて思っていると不死川さんがちらっと私を見た。

「A、お前のお陰で助かったぜェ」

「えっ?私?…私、何もしてませんけど?」

感謝されても全く身に覚えのない私は首を傾げる。

「嫁だァ!祝だァ!って言ってただろ。しんみりしなかったのは、誤魔化してたお陰だろォ」

言われて思い返せば、確かに『時透に嫁が』とか『祝だ』とか宇髄さんは楽しそうにしていた。

「そう言うことですか。…まぁ、私はたまたま居合わせただけで本当に何もしてませんけどね」

ふふふっと笑えば、自身の徳利に残っていたお酒を不死川さんが飲み干す。

「不死川さん、お部屋用意してありますから、ちゃんとお布団で寝てくださいね」

「あァ…」

「無一郎くんもお布団も用意しておきましたから」

頷いた彼を見届けて私は居間を後にした。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月13日 22時

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