33.自慢 ページ33
「そう言う訳だ!分かったか?」と尋ねる宇髄さんに曖昧に返事をする。
「でもどうして奥さんを花街へ?」
純粋に疑問に思った事を口にするとペラペラと話してくれた。
「何度か客として乗り込んだが、鬼の尻尾は掴めなかった。だから、それよりも内側に入ってもらうことにしただけだ」
「じゃあ、奥さんたちも鬼殺隊の人なんですか?」
聞けば視線が鋭くなる。
「違う。くノ一だ」
「くノ一?…くノ一って忍者の?」
「そうだ」
「…え、忍者ってまだいるんですか?」
「おぉ!いるぞ!何を隠そう。俺は元忍だからな。その界隈では派手に名を馳せた男だ!」
得意そうに笑う宇髄さん。
でも忍ってこんなにお喋りなのかな?
自分の身分を簡単に明かして大丈夫なの?
と思ったけれど、“元”だからそこはもうどうでもいいのかもしれない。
「俺の嫁は3人とも優秀だ。だから送り出した」
凄く信頼しているのが、話しぶりから伝わってくる。
元忍だとか、くノ一だとか、嫁が3人いるだとか、嘘みたいな話だけれど宇髄さんが奥さんたちを自慢げに話している姿はとても素敵に見えた。
「何だァ?最後はただの惚気かァ?」
「羨ましかったらお前も嫁をとれ」
「うるせェ。その嫁が居なくて寂しくなってんのはどこのどいつだァ」
不死川さんと宇髄さんが言い合いになり始めた。
それでも、もぐもぐと気にせずご飯を食べている無一郎くん。
「まぁまぁ、お二人とも………」
私が仲裁に入ろうとしたけれど、「表出ろやァ!!」と言った不死川さんの挑発に宇髄さんが「望むところだ」と何やら始めようとする。
「む、無一郎くん…」
この御屋敷の主に助けを求めれば「大丈夫。たぶんじゃれるだけだから」と気にしていないようだった。
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月13日 22時