29.炭治郎の無断外出 ページ29
翌日、落ち込んでる3人に顔を見せようと、私は無一郎くんの御屋敷へ出掛ける前に炭治郎くんたちの部屋へ向かった。
「あれ?」
けれど3人ともいない。
まぁ、善逸くんと伊之助くんは動ける体だったから不思議ではないけれど、炭治郎くんは重症だった筈。
どこへ行ったんだろう?と思っていると、バタバタと足音をさせてきよちゃんがやってきた。
「Aさん!」
名前を呼んで、今にも泣き出しそうな顔を隠すように俯いた彼女。
「きよちゃんどうしたの?」
「…炭治郎さんがいませぇん!!」
私の質問に答えながら勢いよく顔を上げたきよちゃん。
ちょうどそのタイミングで部屋に足を踏み入れた善逸くん。
善逸くんの顔にきよちゃんの頭が勢いよくぶつかる。
「がっ…!」と悲鳴を上げてバタンと後ろに倒れた善逸くん。
傍らに彼が持っていたお饅頭が散乱する。
「ぜ、善逸くん!」
「あーーーっ!善逸さんごめんなさい!!」
駆け寄って彼の体を起こすのを手伝う。
「善逸くん大丈夫!?」
「ぜ…全然大丈夫。どしたの?」
大丈夫と答えた彼の目はぐるぐると回っていて、鼻から血が出ている。
「焦点が大丈夫じゃないですぅ!」
ハンカチを取り出して、泣きながら善逸くんの血を拭うきよちゃん。
私はそんな2人の背中をよしよし撫でる。
「本当にごめんなさい。炭治郎さんどこにもいなくて!」
「ハハハ…大丈夫、大丈夫」と笑う善逸くん。
「いや、ちょっと大丈夫には見えないけど…?
善逸くん、横になった方がいいんじゃ…?」
「大丈夫、大丈夫…」
「どうしましょう。炭治郎さん、傷が治っていないのに鍛練なさってて。しのぶさまもビキビキなさってて………!!!」
「えっ?炭治郎くん鍛練したの!?」
「安静にって言われてるのに!」
わーっと泣きながら言うきよちゃん。
善逸くんも彼女の鳴き声で目が覚めたのか、彼の目を見るとぐるぐる回していた目の焦点が定まっていた。
「あいつ、腹の傷かなり深かったんだよね?それでどっか行っちゃったの!?馬鹿なの!?」
「とりあえず、善逸くんは一旦安静にしようか」
私はそう声をかけて彼が立ち上がるのを手伝った。
*****
善逸くんを寝かせたあと、泣き止まないきよちゃんを連れてしのぶさんを尋ねると「そうですか」とにっこり笑う。
「全く、どいつもこいつもですよ」
シュッシュッっと握りこぶしを振るしのぶさん。
やっぱり柱は怒らせたらダメだ。
特にしのぶさんはダメだ…と改めて思った。
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月13日 22時