記憶を求めて 1【時透無一郎】 (ページ26)

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26.突然のページ26

炭治郎くんたちを見送った翌日。
しのぶさんとカナヲちゃんに着いて町へ出掛けていると、しのぶさんの鴉が訃報を告げた。

「そうですか、煉獄さんが………」

それは突然だった。

一緒に甘味処でお茶をした仲である私にとっても他人事ではない。

困っている人に手をさしのべられる優しさも。私を隊士と誤解して怒っていた姿も。どれも真っ直ぐで人として芯の通った強さがあった。

あの日、蜜璃ちゃんは元々煉獄さんの継子だったと話してくれた事をふと思い出す。

カナヲちゃんはしのぶさんの継子だから、ゆくゆくは蜜璃ちゃんみたいに柱に育っていくのかな？
なんて、興味本意で2人の師弟関係時代の話しを聞いたのはついひと月前のこと。

煉獄さんはあの日「続きはまた今度だ！」なんて言ってたのに。それなのに、もう聞けないんですか？

たった1度しか会ったことがないのに、色々な事を思う。
それはきっとあの数時間で少しでも煉獄さんと仲良くなったからだ。

十二鬼月と呼ばれる強い鬼。
その中でも更に強いと言われている上弦の鬼が
煉獄さんが戦った相手。

柱である煉獄さんが敵わないなんて………

私が鬼に襲われた時ですら、言いようもない恐怖と圧倒的な力に足がすくんだ。

だから、それ以上強い鬼なんて想像も出来なかった。

＊＊＊＊＊

「ぐすっ…Aちゃぁぁぁん」

霞柱の御屋敷に到着して玄関で声をかけた私。
バタバタ聞こえてきた足音に無一郎くんにしては珍しい。と思っていると勢いよくドアが開いて、中から出てきた人物がガバッと私に抱きついた。

「え？えっ？…蜜璃ちゃん？？」

うわぁぁぁんと泣いている彼女が私を抱き締める力は少し強くて苦しい。

煉獄さんの訃報を聞いて、無一郎くんにどんな顔して会おうか…と悩んでいたけれど、予想外の出来事にそんな不安は飛んで行った。

「み、蜜璃ちゃんどうしたんですか？…あと苦しい、です」

そう告げても今の彼女には届かないようで、離れようとしない。

「…やっと来た」

廊下から出てきた無一郎くんが私を見つけて、何だかほっとしている。

まだここに通ってから数日なので、来る度に「今日も来たの？」と言われ続けていた私にとっては進歩に思えた。

「君たち知り合いだったんだ」
「あ、甘味処でちょっと…」
「悪いけど僕じゃ手に終えないから」

そう言ってくるりと背を向けてどこかへ消えていく。

「え！ちょっ、無一郎くん！？」

身動きがとれないまま、私は蜜璃ちゃんと玄関に取り残された。