25.見送り ページ25
「皆さんお達者で」
泣き出す、すみちゃんきよちゃんなほちゃん。
私もつられて泣きそうになる。
「みんな俺と別れるのが寂しいんだね。それなら、俺だけ残ってもいいよ」
「善逸さんは少し女の子に対して気遣いや節度を覚えてくださいね」
「………はい」
的を射た彼女たちの言葉に善逸くんが一瞬にして落ち込んだ。
「でも、ちょっとは俺がいなくなって悲しいでしょ!?」
「悲しくありません!」
3人の揃った声にまた善逸くんが落ち込む。
小さな女の子達に振り回されてる姿が可笑しくて、思わず笑う。
「Aちゃん!?なんで笑うの!!?」
「いや、ごめんごめん。やっぱりみんなといると楽しくて」
と私が言えば「ほわほわする…」と伊之助くんが呟く。
あぁ、この感じ落ち着くな。
そんな事を思っていると、善逸くんたちの隣に戻ってきた炭治郎くん。
蝶屋敷の門の前、背筋を正した彼が「お世話になりました」とお辞儀をした。
「じゃあみんな、行ってきます!」
炭治郎くんの掛け声で「またな!」と元気に手を振る伊之助くん。
「みんな、元気でね。Aちゃんも元気でね!」と泣きながら伝えてくれる善逸くん。
「うん。善逸くんたちも元気で。3人とも道中お気を付けて!」
ばいばい、と手を振って3人の背中を見送る。
思えば3人が来てから賑やかだったし、一緒に話しをするのが楽しかった。
野性的な伊之助くんと、それに鋭く突っ込みを入れる善逸くん。
感情が暴走しがちな3人を落ち着かせて纏める炭治郎くん。
一見でこぼこだけれど、良い組み合わせなんだろうと思った。
ふと、炭治郎くんの背負っている箱が目にとまる。
結局、禰豆子ちゃんには一度も会えなかったな………
でも3人にもそのうちまた会えるだろうから、その時会えたらいいな。
3人の姿が見えなくなるまで見送って、ようやく私も無一郎くんのお屋敷へ行く準備に動き出した。
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作者名:月見 | 作成日時:2020年9月13日 22時