記憶を求めて 1【時透無一郎】 (ページ13)

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13.親切で真っ直ぐな人ページ13

ゆっくり顔を上げると、桃色の髪をした女の子が心配そうに私を覗き込んでいる。

「怪我か！？急病か！？」

続いて、燃える炎ような髪の男性が現れた。

「どうしましょう、どうしましょう！」と慌てる女の子と「どれ、医者まで運んでやろう。さあ、背に乗るといい！遠慮は入らん！！」と、勝手に話を進める男性に呆気にとられてぽかんと口を開く。

人間は不思議なもので、自分よりも取り乱している2人を見ていると、頭のくらくらが段々引いていった。

「あの…ありがとうございます。もう大丈夫ですから」

ゆっくり立ち上がって見せれば、「そうか！それは良かった！」と男性が腕を組んで頷いた。

「あらっ？この子…」

女の子が私の側にいた鴉に気が付く。

鴉がビクッと翼をバタバタさせると気まずそうに私の足元に隠れた。

「えっ？何？どうしたの？」

「うむ！見たところ鴉だな！鴉を連れていると言うことは鬼殺隊の隊員か！…おや？日輪刀と隊服はどうした？」

「え？えっと………？」

2人とも羽織を身に付けていたから気が付かったけれど、しのぶさんや炭治郎くんたちと同じ隊服を来ている。
話しからして鬼殺隊の人みたいだ。

「よもや無くしたのではあるまいな！」

ピリッと肌が焼けるような感覚がして、急に場の空気が変わった。

目の前の男性が何だかよく分からないけれど、とても怒っていらっしゃる………

「っ…！？ま、待って下さい！話を聞いてください！！」

「問答無用」と、今にも飛びかかりそうな男性に女の子が「きゃー！！」と間に入って止めてくれる。

「きっと何か理由があるんだわ」

くるりと身を翻した彼女はずいっと私に詰め寄る。

「さぁ、正直に話して！」

女の子に助けられたのか。
はたまた彼女のキラキラした圧に負かされたのかは分からないけれど、こうなってしまった以上、話さない訳にもいかない。

私はまだ会ったばかりの2人に事情を説明した。