記憶の中で… -Fuma，Shori-

寿命 ページ6

『確認…してみる…』


菊池くんは動揺しながら部屋を出ていった。


その間、ゲージの中を見ていたら…


『俺をここから出して？』


綺麗な顔の男の子に声をかけられた。


『ん…？』


『俺を…選んで？』


ゲージの中から彼が伸ばす手を握った。


その手は普通に温かかった…。


『あなたの名前は？』


『…勝利』


「勝利」と名乗った彼は、綺麗な瞳をしていた…


『分かった…あなたを選ぶね？』


そんな話をしていると、菊池くんとさっきの男性が戻ってきて…


『すみません、風磨はペットとして教育されていないので…』


『そうなんですか？』


教育って何だろう…？


『ただ…彼はもうすぐ寿命を迎えるので、あなたさえ良ければ少しの間、一緒に暮らしてみて貰えませんか？』


『え…寿命って？』


『クローンには限界があって…大体、20代前半で命が消滅してしまうんです…』


え？

もうすぐ死んでしまうって事？




『あの…菊池くんは今、何歳なんですか？』



『彼は今、23歳で…いつ、その時を迎えてもおかしくありません…なので最後くらいは、普通の生活を味わせてあげたいと思って…』


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