記憶が戻れば散りゆく恋《青》*

# 好きだったかも ページ5

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病院を出る頃には、




もうすっかり日も暮れて

夕食の時間帯になってた。








晩ご飯用意して来ればよかったなあ。




翔太さん、何が好きなんだろ。








『 …翔太さん、食べたいものあります？
なにか好きな食べ物、とか。』








けど、そこまで聞いて気付いた。




もしかしたら

好きな食べ物も覚えてないかもってこと。








…また傷ついちゃったかな。








そう思ったけど、




翔太さんは少し考えたあと

あるお店をスッと指さした。








『 …ラーメン？
ラーメンが好きなんですか？』


翔太「 …分かんない、けど
なんか、食べたいなって思って。」


『 …うん。じゃあラーメンにしよ。』








本人が好きだったかは

曖昧みたいだけど、




食べたいなら食べさせてあげよう。








少しのキッカケでも

何か繋がるかもしれないし。








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『 ラーメンなんていつぶりだろ。』


翔太「 ねえ、…これめちゃくちゃ旨い！」


『 ほんと？良かった。』








お店に入るなり

一番おすすめのメニューを注文した。








そしたらすぐに料理が届いて、




翔太さんは口にするなり

幸せそうにヘラッと笑う。








『 ラーメン、好きだった？』


翔太「 うん、これは好きだった気がする！」


『 じゃあ、一つ思い出したね？』








リアクションも食べ方も

なんだか本当に小さい子を見てるみたいで、




母性本能っていうのかな。




なんか、それがくすぐられる感じ。








.








そのまま家に帰ってから

私はあるものを用意した。








翔太「 …なに？それ。」


『 翔太さんの記憶リスト。
なんか思い出すヒントになるかなって。』








って言っても、




思い出したものを一つずつ

紙に書くだけなんだけどね。








『 とりあえず、好きな食べ物は
ラーメン…っと。』


翔太「 おーっ。」


『 そんなすごい？笑 』








翔太さんもその紙には

興味を持ってくれたみたい。








パズルのピースみたいに




いつかこれが一つになるといいな。

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