one hndred two ページ9
シルクside
シルク「A…」
いつもより少しだけ温かい手
Aのじゃないみたいで
不思議な気持ちになる
握っているのは紛れもなくAのものなのに
体温が違うだけで別のものに感じるんだ
シルク「早く起きろよ…謝りたいから…」
手を包み込んで俺の額に
祈るように添えた
貴「…だ、やだっ…!おねが、い!…かないでよ…!」
顔を歪ませて小さな声で叫ぶ
シルク「大丈夫か!?A!」
どうすることも出来なくて強く手を握る
貴「…っ!」
開いた大きな目から涙が出ていた
貴「ゆめ…か…」
安心したように泣き出す
怖い夢でも見たのか
シルク「ごめんA…俺が側にいてやればよかっただけなのに…ごめんな…」
Aの頭を撫でながら謝ると
貴「雪の日に外に出たことなんてなかったの。すごく楽しかった、ありがとう」
そう言って微笑んだ
貴「ずっと消えたいって思ってたから」
俯いて呟く
儚くてホントに消えてしまいそうだ
貴「倒れたとき思ったの…『まだ生きたい』って。初めて思えた。生きたい、まだ死にたくないって思えたのはシルクのおかげなの。ありがとう」
それを聞いて思わず泣いた
Aは俺が助けたって思ってもいいのか?
嬉しかった
誰かの為に、Aの為になれたのが
シルク「次からは離さないから…何があっても側にいる」
貴「…うん、信じてるよ」
指を絡めて握った手は
いつも通りの温度だった
one hundred three→←one hundred one
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作者名:鳴海 帆南 | 作成日時:2019年11月15日 17時