隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ9)

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「はぁ…クソッ」

行き場の無くなった怒りを吐き出す様に蘭はため息をこぼし
漸くこもった熱が抜けていく

「A〜、そろそろ準備でき…A！？どうしたっ陣痛でもきたのか！」

リビングを出ようと扉を開けると直ぐ横で、涙目でしゃがみ込んでいる妻の姿に蘭は顔を青ざめる

『ち、違っ、ごめんね…声かけようとしたんだけど、話し…聞いちゃったっ』

「あー…」

とりあえず陣痛ではなかった事に安堵するも
Aに情けない所を見せてしまった羞恥等が相まって気の抜けた声が蘭の口から抜けでた

「うるさかったよな…ごめん」

『えっ、いや、びっくりはしたけど、うるさいだなんて思ってないよっ』

緊張の糸が切れたのか、Aの横に力無くしゃがみ込む蘭

「…カッコ悪いところ見せたし」

『なっ、そんな事ないよ！寧ろ、なんていうか…更に蘭君の事を好きになったっていうか…凄く嬉しかった』

「本当に？」

どこか拗ねた様に蘭はAの手を握るとそのまま顔を覗き込む

『うん…それと凄く安心した』

「…なら俺も安心させてくれよ？」

近づく蘭の顔にAの目は自然と閉じていて、2人の唇がそっと重なった

「ん…なぁ、もっと」

『でも、散歩がっ…んっ』

蘭にスイッチが入ったのか、ぬるりと侵入する熱く大きな舌は簡単にAの舌を絡めとる

しばらくお互いに堪能した後、蘭はAの肩に手を置いて顔を離すと、自分を落ち着かせる様に深く息を吸った

「＿＿っぶねぇ、別のスイッチも入りかけたわ」

『…別に無理のない範囲ならしても大丈夫だって先生言ってたけど？』

らしくもない事を口にするAに蘭の喉が鳴るも、直ぐに自分の頬を殴り付け正気を取り戻す

『蘭君！？』

「き、気持ちは嬉しいけどっ、いざ本番になったら歯止め効かせる自信ねぇし…何より万が一何かあるのは、やだ」

『そっそうだよねっ…ごめん、私ってばちょっと浮かれてたっ』

「いや、そもそもその気にさせたのは俺、だし…あークソ！散歩行くか！」

『い、行こうか！散歩っ！うん！』

お互いにモヤモヤを抱えてしまったものの、無理矢理頭を切り替え散歩に向かったのだった

(ひぇっ、私ってば一人で期待してたっ、やっぱりイケナイ女になってしまったの！？)

(マジで危なかった！俺じゃなかったらヤッてた間違いなく！)

そんなお互いの心情なんて知るわけもなく、強く握り合う手は別の意味で熱く汗ばんでいたとか…