隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ6)

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『わぁあ！』

今日は待ちに待った温泉旅行当日
今回は車は使わず新幹線で移動したり、現地の料理を食べながら旅を満喫していた

用意された部屋は個室でも庭園が見える部屋で、思わず感動の声が上がる

『凄いよ蘭君！露天風呂と庭園だよ！』

「ふっ」

庭園を見ながら写真を撮っているとはしゃぐ私を見て蘭君がクスリと笑う

『…今ガキだなぁって思ったでしょ！？』

「それだけじゃないぜ？」

蘭君は私を抱き寄せると首筋に何度も軽くキスを落とす

『ちょっ、擽ったい』

「お前との思い出がまたひとつ増えたなぁ、とか、連れてきてよかったなぁって思ったよ」

『蘭君…』

お互いに目が合い、自然と目が閉じ唇同士が触れるまでもう少し____

「灰谷様、夕餉のお時間はいかがなさいますか？」

扉越しに聞こえた声にピタッと寸前で唇が止まり、蘭君は困った様にため息をこぼすも、抱きしめる腕は離すことはなかった

「…こっちから連絡する、そしたら準備して」

「かしこまりました」

せっかくかかりかけた熱も冷めた私達はお互いに笑い合う

『…ふふお風呂入っちゃおうか』

「いいけどその前に＿＿＿」

チュッと響くリップ音
どうやら私の旦那様にはお預けという概念はないらしい

蘭君と一緒に露天風呂に浸かりながら空を見上げる
天候に恵まれたのか、私達を祝福するかの様に星は凄く輝いて見えた

『空、綺麗だね…都会じゃ滅多にこんな景色見れないから凄く感動してる』

「あぁ…星空とか見たってなんとも思わなかったけど、Aと見る空は格別だな」

『っ』

そんな歯が浮くような台詞
蘭君だから似合っちゃうのかなぁ〜なんて思いながら彼の肩にそっと私頭を乗せた

「なぁ、A」

『ん〜？』

「…俺、明日死ぬのかな」

『ちょ、ちょっと！藪から棒に何！？変なこと言わないでよっ』

蘭君らしくない言葉に慌てて顔を上げると、彼のアメジスト色の瞳からツゥと流れ星の様に涙が流れた

「俺、今スゲェ幸せだっ」

『…うん』

「俺は世間一般的に幸せになんてなれないと思ってた、手は沢山の血で汚れてるのにそんな俺をっお前は選んでくれたっ」

『それは…』

彼がやっている事は確かに良くない事だ
でも2年前のあの日、それを受け入れると言ったのは他でもない私で
それは愛だからとかだけじゃなくて、私自身が蘭君が離れない様に必死なのだとこの2年で改めて気付かされたことでもある