隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ42)

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『久しぶり竜胆君！ごはんちゃんと食べてる？菫と椿が竜胆君に会いたがってたし上がって！』

「ウッス、お言葉に甘えて」

上がっていく竜胆の後を、花をどこに置こうか困りながら独り言をつぶやき後を追うAの腕を引く

「お前はこっちなー」

『えっ！？でも花っ！？蘭君！？』

花を抱えたままのAを連れ去り静かに締まる扉
そんな扉を竜胆含め、息子たちが見ていたなんて、そんなことは知らなくたっていい

竜胆から借りた車に花束ごとAを乗せて目的地をいうわけでもなく発進させる

『ちょっと蘭君！みんな置いてどうするつもり！？』

「息子たちの事は竜胆に任せてっから問題ない」

『で、でもっ』

心配そうに遠くなる我が家を見つめるAに若干のいら立ちを覚えながら急ブレーキを掛ける
※危険ですので絶対に真似しないでください

「はぁ・・・お前さぁ、今日が何の日か知ってるよなぁ？」

『う、結婚18年記念・・・デス、はい』

「なら俺の言いたいことわかるよな？」

スルリとAの頬を撫でれば、何を思ったのか顔を赤く染める

『いやいや、流石に私もうオバサンだよ！？』

「・・・なぁに、俺そんなふうに言ったつもりはなかったんだけどなぁ～？久々にゆっくり過ごしてーなーって意味だったんだけど？」

『い、イジワル反対！』

「まぁ、俺の可愛いお姫様がご所望なら期待に応えなきゃだよなぁ？」

となりて変な奇声を上げるAを無視して再び車を発進させれば、照れ臭いのか花束に顔を埋めていた

「・・・別に俺はお前がしわくちゃになろうと、シミが増えようと、それを気にしていても、俺にとってはずっとあの時と変わらない可愛くて愛しくてたまらないお姫様だよ＿＿＿まぁ、気が強すぎるのはたまにきずだけど」

『一言余計！』

「でもそんなお前じゃなきゃ・・・クソみたいな神様の下で愛を誓ったりしねぇよ」

『・・・っ、私も・・・』

小さく呟かれた声に耳を傾ければ、レバーを握る手に重なるAの一回り小さい手

『私も・・・蘭君じゃなきゃ、一緒に地獄になんて飛び込まないよ』

「ははっ、ちゃんとはぐれない様に手綱握っとかねーとなー？」

『え！？私がじゃなくて！？』

「お互いに、だよ・・・結婚１８年オメデト、今日はおいしいもんいっぱい食べてゆっくり過ごそうぜ」

『こちらこそ・・・ずっと隣にいてくれてありがとう』

～fin～