隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ34)

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蘭君が家をでてどれくらいの時間が経っただろうか…
薄暗いリビングで無情にも時計の音が嫌に響く

『蘭君…』

渡された拳銃を持つ手が震える
本音を言えば使う事なく無事に終わってくれればいい、
早く菫と椿に会いたい…
この腕でちゃんと、無事を確かめたい

そう思った最中、玄関からの物音に緊張が走る

『ど、どうしようっ』

迎え打つにしたって今まで拳銃を触った事がない私が出来るわけがなく、唯一の抵抗として部屋を暗くして物陰に身を潜める事くらいだった

「いいか、あんまり騒ぎ立てるなよ？下手に騒げばこの階の住人に怪しまれて通報されるのがオチだ」

「あぁ…にしても森田さんってのも相当灰谷蘭を恨んでたんだな、一般人のくだらないままごとに手を貸すなんてよ」

「おい！お前らっ少しは緊張感持て！いくら女とはいえどあの灰谷蘭の嫁なんだぞっ？あんな男の嫁になる様な女だ、同業者の可能性だって！」

「お前知らないのか?嫁さんはただの一般人だぞ？」

ちょっ、なにこいつらっ！
人が黙って隠れてば好き勝手言って、失礼じゃない！？

「兎に角、怪我だけは絶対させるなよ？せっかくの手付金も全部水の泡になる」

「へいへい、わかりましたよっと」

今回の主犯の仲間だろうか？
部屋を暗くしてもその足取りは変わらず、その足音は壁一枚の距離まで来ていた

どうしよう…逃げ様にもここは一本道だし…

バクバクと強く脈打つ心臓の音さえ聞こえてしまうのではないかと頬に汗が伝う

「おい、今見て回ったが寝室にも、他の部屋にも女がいねぇ」

「はぁ？んな事ねぇだろうが、もっとよく探せ！あの愛妻家が態々危険な場所に嫁なんか連れて行くかよ」

「でもっ」

「きっとこの部屋のどこかにいるハズだ…電気つけてみろ」

しまった、こうなるならブレイカーまでちゃんと落としておくべきだったと後悔してした最中視界が一気に明るくなり…

「見ぃつけた♪」

『しまっ＿＿』

いとも簡単に居場所がバレてしまった

「悪いな、俺達はアンタ自体に恨みはねぇが全て金の為だ、大人しく俺達に着いてきな。」

『っこ、来ないで！一歩でも動いたら撃つ！』

咄嗟に構えた銃に男達はゲラゲラと下品な笑い声を上げる

「どーせガキの玩具かなんかの子供騙しだろ?」

「撃てるもんなら撃ってみろよ？ほら！」

『っ！』

震える手で引き金を引きかけた時

「女がんな物騒なもん使うんじゃねぇ」

目の前の男達は眠る様に倒れていた