隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ33)

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「パパーッ！！」

呼ばれた声に蘭の冷めていた顔が一瞬にして明るくなり、満面の笑みで両手を広げ再び我が子との再会を喜んだ

「兄貴ー、コッチは片付いたけど高橋って…んだよ、完全にイッてんじゃん」

ヤッホ―菫、なんてこんな状況でもにこやかに挨拶する竜胆
菫の視線に合わせてしゃがみ込み、キャラメルの入った箱を渡す

「キャラメル！」

「おう！頑張ったごほーび…ってもちょっと箱潰れちゃったけど」

「ううん！ありがとう！」

先程までの恐怖はどこへやら、菫はキャラメルを一つ口に含むと幸せそうに顔を緩める

「ははっホント肝が据わってるのは誰に似たんだかな？」

意味深に向けられる竜胆の視線に、蘭は携帯を取り出してAの寝顔が写った待ち受けを見せつけるように自分の顔の横に寄せた

「んー？そりゃもう可愛い俺のヨ・メ♡」

「へーへーご馳走様、それじゃ高橋(コイツ)持ってくぞー？」

「悪いオジチャンバイバーイ」

抱いている椿の腕を掴んで手を振る蘭に竜胆は小さく笑うと、高橋を簡単に担ぎ上げる

「そうそう、イザナが下で待ってる、終わったら車出してやるってさ」

「ん。了解」

竜胆を見送った後、蘭は子供達を抱きかかえイザナの元へと向かった

「大将悪い、待たせた」

「気にすんな、それよかもうそんなに大きくなったのか、菫は」

「あ！イザナ！」

菫はイザナを見るなり指を指して名前を呼ぶと、蘭から拳骨が一つ…

「ーッ！」

「イザナさん、だろ？あと指をささない」

思いのほかちゃんと父親をしている蘭の姿に不意をつかれイザナはお腹を抱えて笑う

「ふふっ…好きに呼ばせておけばいい、Aが目を覚ましたって望月から連絡があった、早くガキ達見せて安心させてやれ」

車に乗り込む際、未だにキャラメルを頬張る菫の手から笑顔で箱を取り上げた

「キャラメルは一日2つまでって約束だろ？Aに言いつけるぞぉ？」

「っ今日は良いじゃん！」

「…菫はキャラメルが好きなのか」

元気よく返事をする菫に蘭は呆れたようにため息をこぼす

「昔、竜胆がパチンコの景品でもらったキャラメルを菫に渡してから随分気に入っちゃって…目離すとそればっかり食べるから一日食べれる量決めてんの」

「そうか、今度菫がぶっ飛ぶくらい美味いキャラメル買ってきてやるよ」

「本当！？」

両手を上げて喜ぶ菫に蘭は最早打たれた痛みか、悩みによるものか、額を抑えたのは言うまでもない

(大将俺の話聞いてた？)
(知るか、お前が菫の分まで嫁に怒られればいい)