隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ31)

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椿を抱きながらいつまでここにいれば良いのだろうかと子供ながらに菫は考える

早く家に帰りたい…ママとパパに会いたいと相応な事を願いながら…

「ごめんね、ちょっと狭くて暗いけど直ぐに迎えに行くから」

そう言って2階にある屋根裏部屋に閉じ込められてどれくらいの時間が経ったのだろうか…
オバケ等の類は平気ではあるものの、恐怖で縛られている今菫の精神状態は疲弊していた

「ごめんな…椿っ、俺がしっかりしてないからお前までっ」

「うーぅ」

ギュッと幼い弟を強く抱きしめる
閉鎖的な空間に弟2人きり、菫にとっての安定剤は椿の心臓の音だった

「ーーっ！！！」

「っ！？」

部屋に閉じ込められて暫く経ったころ、突然ドアの外が騒がしく、大人達の怒号や何かの破壊音に菫に緊張が走る

「だ、大丈夫だからな椿っ、兄ちゃんがいるから、お前ら何も心配しなくて良いんだぞ…っ」

震えながらも緊張が幼い弟に悟られない様に、菫は必死に笑顔を作り椿の背中を優しく叩く

「大丈夫っ、大丈夫だからっ、兄ちゃん、今度こそお前をっ＿＿」

2人で息を潜め、外が静かになるのをひたすら待った
ひたすら、ひたすらに…溢れ出る涙を堪えながら、誰でも良いから助けてくれと願う

漸く騒がしさがなくなり菫はホッと一息をついた時だった

ダンッダンッダンッダンッ！！

強く何度も叩かれるドアに恐怖のまま叫んだ

「い”ゃぁぁぁあ！！！パパァ！ママァ！！」

菫の叫びにリンクして椿までも喚き泣く

《っ菫！？椿！？そこにいるのかっ！！》

聞こえた声は他でも無い蘭の声に菫は何度も『パパ！パパ！』と泣き叫ぶ

《ちょっと離れてろ！今開けるから！》

言われた通りに菫は椿を抱えて離れ、蘭に合図する

「っは、離れたよ！」

合図と同時に聞こえた大きな音とは裏腹にキィッと静かに扉が開くと見えた大きなシルエット

「菫っ！椿！！」

漸く見えた顔はいつも見る整った姿の父の姿はなく、髪は乱れ服が崩れた姿だった

「ぱ、パパッ…？」

「良かった…良かったっ」

蘭は2人を抱き締め無事を確かめる為に体を触っている時、蘭の手が菫の頬を触ると腫れている事に気付く

「…殴られたのか」

「殴られたって、言うか…反抗したら叩かれた…う、ん」

「ごめんな…パパがもっと早く助けに行かなくて」

「ううん、大丈＿＿＿ッパパ！」

蘭の背後に迫る影に気付いた菫は咄嗟に声を上げるも、鈍い音と共に蘭の頭から流れた血が菫の頬を伝った