隣の席の子は女の子じゃなかった件について-3 (ページ23)

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家に戻ってから数時間、いつもなら賑やかな空間は薄暗く静かで
まるで私達の心を表しているみたい

「大丈夫、大丈夫だから…」

『…』

大好きな蘭君の言葉を信じたいのに、100%信じられない自分に嫌気がさす
自分の汚い部分がポツポツとシミを作ってゆく

『あのねっ、蘭く＿＿＿』

溜まった不満を口に使用とした時、蘭君の携帯が震え着信音が部屋いっぱいに響く

「っもしもし？九井か？」

(よぉ、お前たちのガキを攫った犯人、見つけたぜ)

「思ったより早かったじゃん」

『っ』

(脅した奴がよく言うぜ…いいか、嫁さんには＿＿＿＿ッ)

蘭君の口ぶりからして恐らく子供たちの居場所が特定されたのだろう
居ても立っても居られなかった私は蘭君の手から携帯を奪い取る

「っおいA！」

『菫はっ！菫と椿は無事なんですかっ！？』

(…えと、Aさんだっけ？悪いがこっちの電話でアンタと話するのは)

『いいから答えてよ！腹を痛めて死ぬ気で産んだ子供なの！母親である私が心配するのは当然の話でしょ！？』

声を荒げる私に向こうは落ち着くように言われ、蘭君にも携帯を取られそうになるも
直ぐに交わして距離を取る

「はぁ…子供たちは無事だ、ただ」

『ただ、なに？早く言って！』

「あぁー…こんな事言いたくないがアンタってなんか疫病神でもついてんのか？」

『はい？』

「…いやまぁ、蘭のやってる事知ってる上で一緒にいるんだから肝っ玉が据わってるのは当然か」

いつまでたっても渋る九井さんに携帯を握る手に力がこもる

『いいから言って…無事だってわかった今、何を言われても怖くない』

「…【高橋隆二】って名前に心当たりは？」

『えっ』

心当たりしかない名前に思わず口に手を当てる

「調べてみればアイツんところにアンタらのガキがいるのがわかった、一体どんな手を使ったのか…ウチのモンが関与している事がこの数時間の調査でわかった」

『そ、んな…』

「詳しい内容は一般人にはこれ以上は言えねぇ…悪い事は言わねぇからあとは蘭と俺達に任せてアンタは見の安全を確保してくれ」

『っ』

「だから今すぐこの電話を蘭に渡せ…いいか？これは警告だ」

蘭君へと顔を向けると、心臓を握りつぶされるくらい怖い顔をしていた
いくら彼の全てを受け入れると覚悟を決めたところで私は所謂【一般人】なのだと思い知らされる