幻想書架のダンタリオン

文書071-3-2 ページ8

私、別にこの支部に深い興味があったわけではありません。

彼がどこまで許可を出してくれるか。

それさえ知れれば今後良い形で再利用できます。

盲目的に従ってくれるようになるまで染み込ませることもできますし、そうなれば無理に"良い人"にさせる必要もありませんから。

監視はつこうと外出は外出です。

支部には数多の異常生物が収容されており、時たまに脱獄や職員を殺害したりと変化のないことを繰り返しています。

職員が死ぬことのリスクを背負ってでもカルカンサイト社全体が収容する理由はただ一つ。

私たちのエネルギーが金になるから、それだけですよ。

では、カルカンサイト社の求人広告から一部抜粋しましょうか。

・時給1200円

・性別、年齢不問

・笑顔のたえないアットホームな職場です。

・ここに勤めればあなたも活躍間違いナシ！

とても胡散臭いように思える広告ですがここに勤めることは名誉そのものと認識され、

そして世界的に名の知れた組織、あ、いえ、企業ですので疑問を持つのは野暮でもあります。

離職率０、というサクラが流した噂の存在も後押ししているんでしょうね。

外は私のように協力的な異常生物ばかりではないので、当然死にかける人も存在していますし、無法地帯でもあります。

そんな中三食保証で寮付きの会社に勤められる安寧を得られるのであればどれだけ安心することでしょうか！

文章を消した本を閉じ、三人の職員に顔を向けます。

｢お待たせしてしまいましたね｣

彼らの背後にあった生命など知りませんし、境遇も興味が湧きません。

綺麗なお面にさえなれず精々欠片を生み出す程度のものに興味が湧くでしょうか？

答えは否、です。

さぁ、支部を片っ端から見て回りましょう。

終わりのない劇場(オハナシ)に祝福あれ。

補遺071-2

T-071-1によりなんらかの手段で喪失された文章が存在します。

・クランベリーを使用したパウンドケーキの作り方

・エージェント・シャルドネの来歴

・Aクラス異常生物の収容手順

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