幻想書架のダンタリオン

文書071-2-3 ページ6

｢…ええ、かの双子は怪物に乗っ取られてしまいました。盲信とはこの事を示すのでしょうか｣

暫く間をおきます。

おおよそ、驚いて開いた口が閉じないといったところでしょうか？

私が他の異常生物に関する書籍を見ていないとでも…あるいは自分の文書を改竄しているとでも妄想しちゃいましたか。

｢人の信仰心は時に私のような異形を産み出す。この性質が顕著に出たのが彼らと言えましょう｣

｢…そうですか。私は｣

｢誰があなたの干渉を望みましたか？この書は消えるべきものを残したもの。

人の想いで形成されていますので、人間は余計なことはしないでください｣

人の考えで歪められるのも、この環境に人が長くいることも良くないことですから。

ええ、人の意見ではなく一方的なのが私の異常性ですよ。

それで良いんです。

私や彼らを収容するのであればそのくらいは心得てくれないといけません。

｢この世の全ての物質には毒がある。覚えておいてくださいね。

さ、帰ってください。データを持ち帰るのがあなたの仕事でしょう？｣

名前の知らないエージェントを追い出し、とどめにやるべきことを告げてから書架から追い出す。

少し長く話しすぎてしまいました。

今頃彼女の脳内では未知なる何かが溢れている頃でしょうか。

仮面になるには若すぎますし、面白みもありません。

死なないでくれると有りがたいのですが。


T-071-1の精神はデータ上は安定していましたが、形容しがたい狂気に満ちていました。―エージェント・■■■■

文書071-3-1→←文書071-2-2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す