文書071-4-1 ページ19
飴と鞭。
それは躾において最上級に必要な存在であり、同時に非常に扱いにくいものでもあります。
飴と鞭を制するものは世界を制するだとかそんな世界線があるのであれば鼻で笑いながら記録したいものですね。
世の中には飴はたくさん、鞭はちょっとという人間がいます。
その逆もまた然り、愛情たっぷりの鞭だけを好む人間も存在しているんです。
いやほんと、本当にいるんです…そんな私にとってはかなり噛み合わない個性をお持ちの人間が。
まどろっこしくありましたがつまるところ、人身掌握のコツ及び躾のコツは優しさと厳しさの比率にあります。
ほら、失恋したあとに優しくしてもらって惚れる…なんてこと、あるでしょう？
少なくとも私はそのパターンを数多く確認しています。
事実今この瞬間入室した職員は疲弊状態にありますから。
なにも言わないというのは気まずいですが、私の役割というのは物語を語り継ぐことですのでやらないわけにはいかないのです。
あぁ、ほんっと世間は残酷ですこと。
｢失礼、します｣
｢本日は閉架日です。おおよそ派遣された清掃員でしょう？でしたらそこに座ってください｣
職員は無言で椅子に座り、私の方を見ます。
そう、本日は閉架日。
またの名を清掃日。
ですから内装が変化してしまうこともいたって普通のことであり、
なんら可笑しいことではないの目の前の職員が隈の深い目で不思議そうに思っているのが異常です。
まあ何をもってして異常と定義するかによって大きく変わってしまうでしょうけれど。
｢あの、業務は｣
｢現在は必要としていません。大人しく話を聞いてとっとと出ていってください｣
我ながら少々遠回り過ぎたでしょうか？
しかしながら先日のプルトーネの件といいシャルドネの件といい非日常的でしたから、
その対応に追われていたうえにこちらで療養兼作業なのでしょう。
そもそも疲労困憊の人間をどう扱えば最大限の効果を発揮できるのでしょうか、非常に興味深いですね。
そんなことを企業単位で行うものも…いえ、これはどうでもいいですね。
｢では、これはある村での話です｣
無の空間から白葡萄のワインを生成し、見た目のわりに多めに注げるグラスを生成して程よく注ぎ、職員に渡します。
｢これは｣
｢喉、乾くでしょう？ですから置いたんです｣
｢あ、はい｣
戸惑いながらもワインを口にします。
あ、毒なんて無粋なものはいれていませんのでそこはご安心を。
｢…話しますね｣
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菫青(プロフ) - 紫清さん» まず、この世界観に惚れてくれたことが作品の親として本望でした。彼女の在り方や文章は私の好みも含んでいたのですが刺さったということで大変嬉しい限りです。こちらこそコメント、ありがとうございました。 (2019年10月19日 20時) (
レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 急にコメント失礼します、偶然この作品を読ませて頂いたのですが、謎の多く少し不気味な世界観とそれを反映した文章、そしてダンタリオンさんの在り方に惚れました……！ これからも陰ながら更新楽しみにしております。素敵な作品、本当にありがとうございます。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
菫青(プロフ) - シャル＠如月唯奈さん» 私個人の趣味を大きく詰め込んだ設定、文章でしたが読みやすいようで何よりでした。こちらこそ参加させていただきありがとうございます。 (2019年9月25日 20時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
シャル＠如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！早速読ませていただきました。文章も好みでとても読みやすかったです(^-^)この作品の設定もイイ(笑)更新頑張ってください！ (2019年9月24日 22時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菫青 | 作成日時：2019年9月21日 21時
