だって呪われちゃってますもの ページ30
｢初音さん！？なんでいるの！？｣
で、俺に対する第一声がそれかよ。
｢ん、数日ぶりにしちゃ失礼だなお前。リボーンに呼ばれたんだよ｣
スマホから視線を移して見ながら文句を言う。
すまなそうな顔をしていたのでよしとしよう。
｢初音はお前の力量を量るために呼ばれたんだぞ。だろ？｣
｢えっ、それは聞いてない｣
｢やれ｣
リボーンが銃を構えてくる。
あこれやらなきゃ打たれるわ。
｢致し方なし、か。綱吉、いいか？これからお前は俺の"目"を見る。何があっても目を逸らすな｣
｢…え？｣
｢ロマさん、万が一の為に用意しといて｣
ボンゴレとかマフィアとかはよくわからないけれど、一人の人間を変にしたら目覚めが悪いから頼んでおく。
この両目、ほんと呪われてるんだな。
｢あいよ｣
ロマさんの返事を確認し、フードを外す。
ここ最近外してばっかだし、面倒だな。
｢じゃ、いくよ｣
困惑している綱吉の襟元を掴む。
翡翠を彼の目に合わせ、そこに意識を集中させる。
意識が集まった俺の目を見て動けるものはそうそういない。
そして異常なまでの恐怖感にかられ、衝動的に死にたくなる感覚が襲いかかってくる。
最終的にありとあらゆるものを言い出したくなり、下手したらショック死さえも引き起こす呪われた翡翠。
目の前の綱吉は固まり、瞳孔を大きく開いたままこれをずっと見つめている。
｢…限界？｣
最早うんともすんとも言わない。
彼に見えたのはなんだろうか。
トラウマ？後悔？無数の鎖？
どうでもいい。
今重要なのは彼が正気を保てているかどうかだから。
｢はいお終い。もうこれ以上は危ない橋を渡ることになるからね。あんたらも大丈夫？感染からの幻覚酔いとかしてない？｣
襟を離してフードを被り直してから振り返る。
発狂してどこかにいかないように綱吉の腕を握った。
…なんというか、驚いて固まっていたのが正しいのだろうか。
｢…なんつーか、想像以上だな｣
｢怖いだろ？｣
ああ、ほんとやだ。
離れてくれるのはありがたいんだけど、突き放すのも離れられるのもしんどい。
｢初音ちゃん、両方の十代目は無事か？｣
｢あー、綱吉はわからないけどディノさんは多分無事かな｣
｢そうか｣
ロマさんが安心して頷く。
自分もそうだろうに優しい人だな。
｢リボーン｣
｢あれだな｣
リボーンの方を向き、手を放す。
それから勢いをつけて。
見事に息のあった蹴りがW十代目に当たったのである。
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作者名：菫青 | 作成日時：2019年9月18日 19時
