あとついでに壊れる俺 ページ24
ロマさんの言葉で一気に我に返った。
鎖は大気中へと散らせ、ディノさんの頭を放し、一気に後ろに下がってフードを深く被る。
なんだ今の超絶至近距離。
鼻ぶつかりそうだった、てか軽くぶつかったぞ今。
絶対がっつり顔も見られたし、なんなら恐怖すら与えてた。
恥ずかしいし情けないし何より謝らんといけないのに謝れん俺が醜い。
「ふぎゅ…きゅぅ…」
声を出そうとしたところで文明を遥かに越えた言語しか出てこないこの口を呪う。
畜生死ね。
さっきの情緒不安定かつメンヘラ女の頂点に立ってそうな俺を誰か殺せこの野郎。
「初音、大丈夫か?」
掛けられた声に小さく頷く。
「暴走するのは良くないが今のはボスも悪かったからな。ほら、まずは顔上げてごめんなさいだろ」
ロマさんが正論という正論を言いながら、フード越しに頭を撫でてくる。
物凄い良い奴かよ。
「ごめんな、さい。ディノ兄、俺、あの、悪かったから…うん、え、えと…」
辛うじて上を向き、なんとか声を出してディノさんを見つめながら言葉を紡ぐ。
確実に目があってしまい最後まで言い切ることは出来ず言葉にならない奇声と共に視線を下へ戻す。
視界が滲み、目から生理食塩水…誤魔化さずに言うと涙が流れていく。
罪悪感に押し潰されるしじっと見られるのは苦手だし、わけわからなくなってくるしで硝子製の心は限界です、はい。
「…ボス」
「俺のせいじゃねーだろ!」
「でもよ、ボス」
遠くから辛うじてわかる会話が聞こえてくる。
否定したいのにか細い声しか出てこず、何時もの減らず口が機能してくれない。
泣いて良いですかねぇこれ。
「…あー、初音。俺も悪かった。雰囲気は十分大人っぽいし久し振りに会ってびっくり…いや、これは言い訳だな。とにかくごめんな?」
優しい声色で謝り、そっと頭を撫でてくる。
この扱い、この大切なもののような扱いが凄い嬉しいし恥ずかしいし勿体ないと思うんだ。
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年9月18日 19時