今を生きる、男装少女は傷を負った能力者【番外編】2

今を生きる【Ifの話】2 ページ7

記者会見に現れた国光と綺麗な女の人
モデルさんで、テニスも出来るらしい、女らしい人
これ以上は見る必要は無いと、見たくないと体が拒絶反応を起こして歩き出した

「A……？」

不意に呼ばれた名
聞き覚えのあるような、それでいて記憶の中のものより少し低い声

「ああ……お前か」

振り返れば、あのとき青学の中で信じてくれた数少ない一人
少し男らしくなった、間宮麗一だった
時間があるかと聞かれ、是と答えると家に案内された
家には朋香ちゃんもいて驚いていたら、妻だと紹介された

「先輩……どうして、今までどこに」
「朋香ちゃん、俺はもう」
「いいえ！私の尊敬する先輩は今でもA先輩です！」

瞳に涙を浮かべて、そう言ってくれる
それが、少しだけ嬉しかった

「どこにいたかは黙秘しなくちゃいけないものなんだ。ただ、元気ではあったよ」

そう、血塗られたこの話を、今平和に生きているこの子達にするわけにはいけない
二人はそう、とだけ言って突っ込んでは聞かなかった

「国光、結婚するんだってな」
「っ」
「綺麗な人だったな。これで、ご両親も安心だろう」
「A……っ」

どうして、と二人は泣き崩れた
俺はもう泣けないから、きっと代わりに泣いてくれている
優しい二人だ

「みんなっ、お前がいなくなっても、何も思わないで過ごしててっ」
「あいつのことが分かってもなにも、謝りすらしなかった！後悔すらしなかった！心配すらしなかった……！」
「ほかの、跡部さんとか、有紗さんも葉月さんも心配してて、ほかの学校の人たちみんな、心配してたのに！青学の人たちだけっ！」
「いいよ、もう」

これ以上辛そうな二人は見たくない
ありがとう、といって区切る

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