今を生きる、男装少女は傷を負った能力者【番外編】2

男装少女【テニプリ(今を生きる)】1 ページ22

きょろきょろとあたりを見渡す
記憶の中のものとは随分と昔のようなものと感じる
昔一回、たった一回しかも数分しか話したことのない
それでも確かに彼女はあいつを愛していることが伝わった
いつか行くといっていて随分と遅くなってしまった

「あの、どうかしました？」

声をかけられて振り向く
青学が近いからまあわかる、かも？

「A……手塚Aという人物を知っているか？」

そう聞けば声をかけてくれた青年は大きく目を見開いた

「手塚Aは、母です」




手を合わせる
あの頃あったときよりも少し若い写真

「紅茶で良いですか？」
「ああ、すまないな」

まさか、彼女と手塚の子供だとは
たしかに手塚に似ている
この子の方が感情表現は豊かだが

「まさか、亡くなっていたとは……」
「5年前に」

最後は息子であるこの子の試合を見て、息を引き取ったとのこと
それだけで幸せだったのだろうと想像できる

「あの、お母さんとは」

どういう関係だったのかと聞かれて、答えに困る
友人と言うには時間を詰んだわけではない
でも

「関係は言いにくいが、互いが互いのことをなんとなく分かっていた」

同じ名を持つものとして
魂が、同じだったかのように
手塚を愛したのも似ている

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