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「痛かったよね。」
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そう言って私の腕に視線を落とす
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カーディガンを羽織っている私の腕は
透けてはいないけど
きっと自分がしたことをわかっているんだと思う
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中々視線が合わないお母さんに
首を横に振れば力なく笑われる
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「今日ね、ハンバーグ作ったの。」
『......私、ハンバーグ好き。』
「うん、食べよ。」
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私の好きな物を作ってくれるお母さんの前に腰かけて
2人で手を合わせて口に運んでいく
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お母さんは決して料理が得意なわけではない
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でも、私のために作ってくれた
それだけで十分だった
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美味しいね、といえば
そうだね、と返ってくる
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彼氏がいる、と言えば
詳しく聞かせてと恋バナが始まる
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こんな話したのは初めてで
少し照れくさかったけど単純に楽しかった
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廉のことはまだ言わない方がいいかな、と
それだけは黙って
後のことは全部話して......
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狭い寝室で二人分の布団を引いて
久しぶりにお母さんと一緒に寝た
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このことが間違いだった、なんて
気づけなかった
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私の人生の絶頂は
この日だったのかもしれない
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私がいい夢を見ているころ
お母さんはそっと起きて
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「....次はどうしたらいい？」
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誰かに電話をしていた
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そんなお母さんの声なんて知らなかった
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信じて疑わなかった
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岸くんの笑顔に溶かされて
廉からの愛情を受け取って
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判断力が鈍っていたのかもしれない
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ねぇ、岸くん
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私は
貴方が大好きだよ
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だからお願い
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本当の私に気づかないで
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もうすぐ
風に飛ばされそうな深い春が終わる
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それと同時に
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やっと手に入れた幸せも
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当たり前も
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岸くんも
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終わりを告げていく
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苺大福(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます！共感してくださって嬉しいです！私の両親も過保護で....(笑)私も幸せになって欲しい思いで書いています。お気遣いありがとうございます！！！！ (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 苺大福さんが書く家庭環境とか、女の子の心情とか。自分に当てはまりすぎててスゴい引き込まれます... 私の場合はただ単に親が過保護すぎってだけだけど笑 主人公の女の子にはどうか幸せになってほしいです(T^T) 更新楽しみに待ってます！ ご無理なさらぬようm(__)m (2020年3月8日 19時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - ぷーちゃんさん» 指摘ありがとうございます(泣)すみませんでした...。書き直したのでよかったらまた読んでください！！二度手間ですみません...。 (2020年2月10日 17時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - こんばんは！携帯が壊れてるはずなのにLINEが送ってることになってます��(ﾟДﾟ) (2020年2月10日 2時) (レス) id: 36fbe17710 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - renchkaさん» ありがとうございます！歌を題材にした方が作りやすいかなぁと思って作って良かったです！廉くんに1票ですね！笑、頑張ります！！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福
| 作成日時：2020年1月28日 23時
