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「.....もうすぐ着くよ。」
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声がして顔をあげれば
至近距離に岸くんの顔があって
思わず固まってしまった
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岸くんはそんな私をみて
少し苦笑いをする
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「疲れたよな。
Aちゃんめっちゃ寝てたし。」
『え！？ご、ごめん.....。』
「いや、それはいいんだけど、さ.....。」
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今度は困ったような顔をして
首に手を当てた
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岸くんが何かを言いかけた時
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" ○○駅 ○○駅です。"
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車内のアナウンスが流れた
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減速していく電車の中で
岸くんは やっぱ何も無い、と言って
開く扉の方へと歩いていく
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その背中はやけに小さくて
違和感だけが残った
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『今日はありがとう。』
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いつも通り家の少し手前の曲がり角でそう言えば
岸くんは切なそうに うん、とだけ返事をする
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ここまでの道でも
岸くんは何かを言いたそうにしては俯いて
空元気だったのなんて丸わかりだったけど
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心当たりのない私にとっては
どう接していいのかわからなかった
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それよりも、
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家に帰ったあとの出来事とか
されることとかが私の頭を埋めつくして
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岸くんどころではなかった、というのは
事実かもしれない
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「....気をつけて。」
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こんな変な空気にも関わらず
相変わらず優しい岸くんに罪悪感を抱いて
私は家へと足を進めた
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岸くんがその様子を
切なそうに見ていたなんて
気づかなかった
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『ただいま......。』
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玄関から見えるリビングには明かりがついていて
絶望に包まれながらそっと扉を開けた
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「おかえり！」
『......。』
「ご飯できてるから一緒に食べよ？」
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お母さんの言葉に
私は理解が出来なかった
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だって、ついこの間まで
私にご飯なんてださなかったから
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しばらく固まっている私に
お母さんは近づいてきてぎゅっと抱きしめてきた
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「今まで、ごめんね。」
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優しいお母さんの声がした
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苺大福(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます！共感してくださって嬉しいです！私の両親も過保護で....(笑)私も幸せになって欲しい思いで書いています。お気遣いありがとうございます！！！！ (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 苺大福さんが書く家庭環境とか、女の子の心情とか。自分に当てはまりすぎててスゴい引き込まれます... 私の場合はただ単に親が過保護すぎってだけだけど笑 主人公の女の子にはどうか幸せになってほしいです(T^T) 更新楽しみに待ってます！ ご無理なさらぬようm(__)m (2020年3月8日 19時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - ぷーちゃんさん» 指摘ありがとうございます(泣)すみませんでした...。書き直したのでよかったらまた読んでください！！二度手間ですみません...。 (2020年2月10日 17時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - こんばんは！携帯が壊れてるはずなのにLINEが送ってることになってます��(ﾟДﾟ) (2020年2月10日 2時) (レス) id: 36fbe17710 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - renchkaさん» ありがとうございます！歌を題材にした方が作りやすいかなぁと思って作って良かったです！廉くんに1票ですね！笑、頑張ります！！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福
| 作成日時：2020年1月28日 23時
