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廉はソファに座らせた私に
冷蔵庫から麦茶を持ってきてくれた
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それを一口飲んで
隣に座った廉の方を向く
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『...急にごめんね。』
「いや、大丈夫。」
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そう会話をしたきり
どっちも黙ってしまう
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「......痛い？」
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沈黙を破ったのは廉
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ブレザーを着ているから
傷なんて見えない
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でも、そう言った廉は
確信をつくような目をしている
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「毎日されてんの？」
『......うん、
ここ何週間かは。』
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そう言うと
廉は私より苦しそうな顔をする
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『でも、もう慣れちゃった。』
「.......、」
『昔から変わんない。
結局、私ってこういう運命なんだよ。』
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自分のことなのに
他人のことのように話せるようになったのは
いつからだろう
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きっと、私は
東京に来る前に
"感情" というものを捨ててきてしまった
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痛い、なんて
そんな感情
私には邪魔でしかなかった
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「A。」
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廉の言葉に顔をあげると
絡む視線
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「俺は、Aが大切。
.....だから、無理にとは言わんから
Aも自分のこと大切にして？」
『......うん。』
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そう言うと
安心したような顔をされるから
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『廉、』
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私は廉に助けを求める
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『私、生まれてきて
よかったんだよねっ、』
「当たり前やろ。」
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間違った方法で
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傷にそっと
キスを落としてくれる廉に
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「Aっ、」
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名前呼んで
私の存在を確かめてくれる廉に
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「大丈夫やから。」
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壊れ物のように
優しく扱ってくれる廉に
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私は
自己嫌悪を消していく
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家族という
離れられない肩書きの中で
必死にもがいていた
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廉という存在に
必死にしがみついていた
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私に落っこちる
淡い靄の中で
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君じゃないといけない、
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ただ強く
そう思うだけ
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苺大福(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます！共感してくださって嬉しいです！私の両親も過保護で....(笑)私も幸せになって欲しい思いで書いています。お気遣いありがとうございます！！！！ (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 苺大福さんが書く家庭環境とか、女の子の心情とか。自分に当てはまりすぎててスゴい引き込まれます... 私の場合はただ単に親が過保護すぎってだけだけど笑 主人公の女の子にはどうか幸せになってほしいです(T^T) 更新楽しみに待ってます！ ご無理なさらぬようm(__)m (2020年3月8日 19時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - ぷーちゃんさん» 指摘ありがとうございます(泣)すみませんでした...。書き直したのでよかったらまた読んでください！！二度手間ですみません...。 (2020年2月10日 17時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - こんばんは！携帯が壊れてるはずなのにLINEが送ってることになってます��(ﾟДﾟ) (2020年2月10日 2時) (レス) id: 36fbe17710 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - renchkaさん» ありがとうございます！歌を題材にした方が作りやすいかなぁと思って作って良かったです！廉くんに1票ですね！笑、頑張ります！！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福
| 作成日時：2020年1月28日 23時
