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あの日から1ヶ月
岸くんは宣言通り
私を守ってくれるように一緒に登校してくれる
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最初の頃は野球部の朝練とか気にしてたけど
当分大きな試合もないらしく
結局毎日約10分を共にするようになった
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「はぁ、今日も学校だりぃな。」
『そうだね。』
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"同じ歳だから敬語無し！"
岸くんに言われてタメ語になった会話
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岸くんは誰にでも好かれそうな性格をしている
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人懐っこくて
表情がコロコロ変わって
常に何かに一生懸命で
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私には眩しすぎる人
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毎日
"普通" を演じることに必死な私と
全然違う
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「Aちゃん？どした？」
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そんなことを考えていた私は
いつの間にか下を向いていて
不思議に思った岸くんは顔を覗き込んできた
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大きくて吸い込まれそうな
何も汚れていない目に
思わず背けてしまう
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『今日の体育嫌だなぁって。』
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頭を回転させて
それっぽい言葉を口に出して
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日に日に嘘が増えていく
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そっか、そう言って
岸くんの目線は私から外れる
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ふと、目の前の広告が目に入った
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"今年のバレンタイン 貴方は誰に送りますか？"
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もうそんな季節か...
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バレンタインなんてもう何年も作っていない
送る相手すらもういない
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「なぁ。」
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斜め上を見上げると
岸くんと目が合った
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「Aちゃん、バレンタイン誰かにあげんの？」
『...あげないよ、渡す相手いないから。』
「あのさ、」
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少し苦笑いで答えた私に
岸くんが何かを言いかけた時
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"______次は東女子校前、"
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私の高校の最寄り駅に着くアナウンスが鳴った
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『もう降りなきゃ。』
「そ、だな。」
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扉が開いて
ホームに足を着けると
今日も岸くんとの時間が終わった
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ほっと胸をなでおろす
今日も普通にできた、と
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そしてタイミングよく駅に着いたことに
少しの安堵を覚えた
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岸くんの言葉を最後まで聞くことがなかったから
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苺大福(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます！共感してくださって嬉しいです！私の両親も過保護で....(笑)私も幸せになって欲しい思いで書いています。お気遣いありがとうございます！！！！ (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 苺大福さんが書く家庭環境とか、女の子の心情とか。自分に当てはまりすぎててスゴい引き込まれます... 私の場合はただ単に親が過保護すぎってだけだけど笑 主人公の女の子にはどうか幸せになってほしいです(T^T) 更新楽しみに待ってます！ ご無理なさらぬようm(__)m (2020年3月8日 19時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - ぷーちゃんさん» 指摘ありがとうございます(泣)すみませんでした...。書き直したのでよかったらまた読んでください！！二度手間ですみません...。 (2020年2月10日 17時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - こんばんは！携帯が壊れてるはずなのにLINEが送ってることになってます��(ﾟДﾟ) (2020年2月10日 2時) (レス) id: 36fbe17710 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - renchkaさん» ありがとうございます！歌を題材にした方が作りやすいかなぁと思って作って良かったです！廉くんに1票ですね！笑、頑張ります！！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福
| 作成日時：2020年1月28日 23時
