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少しの間
沈黙が訪れる
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岸くんの視線はキョロキョロしていて
明らかに返答に困っていた
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「お嬢様、かなとは思ってる。」
『........へ？』
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岸くんの言葉を理解するのに
少し時間がかかったのと同時に
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安堵する
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「東女子って結構お嬢様多いって聞いてたけど
まさかここまでとは思ってなくて、」
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さっせ、と何故か謝る岸くん
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もちろん、
私はお嬢様じゃない
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むしろ反対に属する
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でも岸くんの勘違いとはいえ
そこまで深く考えられてなかったことには
本当に安心した
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「ま、でも。」
『ん？』
「人って知らないことたくさんあるし
それ知るから楽しいんじゃね？」
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岸くんの目は澄んでいて
嘘なんてひとつもない言葉だとわかる
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そんな岸くんが
私は羨ましい
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きっと岸くんは知らない
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世の中には
知らなくていいことがいっぱいあること
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知ったら絶望に陥ること
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普通の人にはわからない
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岸くんには理解されない私の過去
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「Aちゃんさ、」
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俯く私に岸くんは言葉を発する
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「廉のことどう思った？」
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廉、
今1番聞きたくない人の名前だった
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岸くんが知っているはずない
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そう思って
会ったことある人なのに必死に第一印象を考える
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『顔整ってたね。』
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あんなイケメン見たことないくらい、と言えば
岸くんの目線は少し下がる
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『岸くん？』
「廉には適わねぇけど、
結構俺頑張ってんだよ？」
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私を見るその瞳は
とても苦しくて
でもどこか優しげで
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日に日に罪悪感だけが募る
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鈍感な振りをする私に気づかない岸くんは
ゆっくり、でも確実に距離をつめてくる
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そして私は
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『うん？何を？』
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それを上手く交わす
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いつから私
こんな最低な人になったんだろ
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苺大福(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます！共感してくださって嬉しいです！私の両親も過保護で....(笑)私も幸せになって欲しい思いで書いています。お気遣いありがとうございます！！！！ (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 苺大福さんが書く家庭環境とか、女の子の心情とか。自分に当てはまりすぎててスゴい引き込まれます... 私の場合はただ単に親が過保護すぎってだけだけど笑 主人公の女の子にはどうか幸せになってほしいです(T^T) 更新楽しみに待ってます！ ご無理なさらぬようm(__)m (2020年3月8日 19時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - ぷーちゃんさん» 指摘ありがとうございます(泣)すみませんでした...。書き直したのでよかったらまた読んでください！！二度手間ですみません...。 (2020年2月10日 17時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - こんばんは！携帯が壊れてるはずなのにLINEが送ってることになってます��(ﾟДﾟ) (2020年2月10日 2時) (レス) id: 36fbe17710 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - renchkaさん» ありがとうございます！歌を題材にした方が作りやすいかなぁと思って作って良かったです！廉くんに1票ですね！笑、頑張ります！！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福
| 作成日時：2020年1月28日 23時
