別々の空 - Yuta.Kishi -

020 K side ページ20

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「...やだ。」





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最近、よく弱い声をだすA





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俺の身体にしがみつくような


そんなハグ





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背中にあるAの指は


若干震えていて





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不安なんだ





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そうわかった





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「優太。」





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名前を呼ばれて


少し下に目線を落とすと


Aは俺を見ていた





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「優太。」





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再び呼ばれた俺の名前





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こんな色っぽい目で


呼ばれたりしたら


耐えられそうになくなる





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俺から離れたAは


何も言葉を発さなくなった





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けれど、ずっと俺の手をぎゅっと握って


下を向いている





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『なぁ。』





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俺の声に


Aは顔をあげる





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『この手離さないと

....どうなるかわかってんの？』





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少し怒った感じで言った俺





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だってその気がないのに


こんな思わせぶりな態度とってたら


流石の俺だって怒るぜ？





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でも、Aから出た言葉は


俺の予想の斜め上だった





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「....分かってる。」





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そう言って俺の手を握る力を強めた





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俺の部屋に連れてきたAを


どっかで見た映画のワンシーンのように


優しくベッドに押し倒す





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上から見下ろすAは


若干顔が強ばってて震えてる





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やっぱり、怖ぇんじゃん





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『A、やっぱり「優太、愛してる。」





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俺を見て言ったAの目には


少し涙が溜まっていて





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俺達には


もう時間が無い





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Aはそう訴えてきてるように見えた





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『A。』





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俺はAの右手を繋いで


顔の横に持っていく





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『俺も愛してる。』





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小学生まで一緒に寝ていた俺のベッドは


成長とともにそれはなくなっていき


ずっと1人だった





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それは仕方ないって分かってて


でもやっぱ寂しくて


いたはずのAを思い出して


寝るのが日課だった





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でも、今日は


最愛の人と結ばれる場所になる





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美人なのに笑うと可愛いとこ


意地っ張りのくせにたまに素直なとこ


甘えるのが下手くそなとこ


色っぽいとこ





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全部、俺だけが知っていればいいんだ





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