#15 ページ17
mz side
「どうして?」
「ヒトなんて、信じちゃイケナイ」
「なんで?優しい人も居るでしょ?」
「そんなヒトいない!」
これは相当心を閉ざしているなと感じた
「みんな私をキライって言う。
どこに行っても『雨は嫌い、別の所へ行け』って言う
私は雨が好きだから、皆にも雨が好きになって欲しかっただけなのに
私に居場所はないみたい
だから私はとことん嫌われようと思ったの
土砂降りの雨を降らせて迷惑かけてやろうと思った
どうせ貴方も私のこと、キライなんでしょ?」
そんなの違う
彼女は、時雨は自分を小さく見すぎている
「嫌いじゃない!
確かに朝起きて雨だったら気分が落ちたりするけど
でも、雨の中傘を差して歩くのも中々悪くないと思う
だから雨は嫌いじゃない
それに、時雨と雨は関係ないでしょ?
雨は嫌いだけど時雨は好き、そんな人もいると思う
俺は時雨も雨も好きだけどね
だから、そんなに自分を小さく見ないでよ」
伝わったかどうかは分からない
けど、自分の全てを時雨にぶつけた
当たって砕けろ、そんな言葉が今の俺には似合うと思う
どうか、どうか、俺の気持ちが伝わっていますように
祈ることしか出来ない
「そんなこと言ってくれる人、初めて会った
私、今すっごく嬉しい!
そうだ、お友達になろうよ
名前、なんて言うの?」
伝わったらしい
嬉しくて自然と口角が上がっていく
「瑞稀、井上瑞稀って言うんだ」
「そーなんだ、よろしくね!瑞稀!」
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作者名:ゆるゆき。 | 作成日時:2021年9月17日 15時