縁は異なもの味なもの

37. you side ページ37

You side






見られてるよね。凄く見られてるよね。



隣から熱い視線感じつつ、素知らぬ顔をしてコーヒーを口に運ぶ。
口の中に広がる独特の苦味が微睡んだ頭の中を冴えさせてくれる。



苦いのは苦手だけど、この感覚はすごく好き。

いつもなら眠気覚ましのコーヒータイムは至福のひとときなのだけれど、状況が状況なためにそうも言ってられない。




何でこんなに見られてるんだろう。

え？観察されてる？私、そんなに珍しいですか？奇妙ですか？




どうにもジニョンさんといると緊張してしまう。

彼との会話は気が置けないのだ。
腹の探り合いをしているような、そんな感覚。



にこにこしていて人が良さそうな雰囲気を身にまとっているけれど、目が笑っていないのだ。



おそらく彼は今私を見極めている。
荒っぽい表現をすると、品定めしているのだと思う。




気持ちは分からなくもない。
芸能人なのならば、近づいてくる人間に細心の注意を払うのは当然のことだ。


むしろジェクたちは危機管理が甘いのだと思う。
出会ったばかりの女を家に泊めて、しかも家政婦として雇おうとしているのだから。



彼はこのグループに近づく危険因子を排除する役割を担っているのかもしれない。

となると、昨夜の私に対する反応から考えるに、ジェボムさんも彼と同じ役割を担っているのだろう。




ジェボムさんは警戒心や不信感を前面に出して相手をけん制するタイプ。

一方で、目の前の彼は気を許したフリをして相手の懐に潜り込んで尻尾を掴むタイプ。

ジェボムさんのように分かりやすい態度で接してくれると、気が楽なんだけど。
ジニョンさんタイプは下手なことすると地獄に落とされそう。



いや、別にやましいことがあるわけではないんだけども。

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