21. jackson side ページ21
Jackson side
「よっしゃ!手当て終わり!気になるとこある?」
「大丈夫です。何から何までありがとうございます」
大したことしてないのに、深々と頭を下げられて自然と笑いが出る。
「そんな頭下げんなってー!ていうか、―って何年生まれ?敬語やめね?」
「1994年の3月生まれです。確か、こっちだと早生まれにならないんですよね」
「え、待って!俺も1994年の3月生まれなんだけど!」
「ええ!凄い偶然!」
わー、何日生まれですか、と嬉しそうに尋ねてくる彼女に、勝手に口角が上がってしまう。
「同い年なら、なおさら敬語はなし!」
「うーん、でも…」
「ダメ?俺なんかとは仲良くなりたくない?」
困った顔で渋る彼女の手を握り、これでもかというほど眉を下げて尋ねる。
秘技、泣き落とし。
「…うう、そんなことない、よ。ジェクスンさん、そんな顔しないで」
「ジェク」
「え?」
「ジェクって呼んで?」
「いや…ああもう、その顔やめてジェク。ずるいよ。」
拒否できない、と言って顔を逸らす彼女に満足して手を離した。
きっと俺、今だらしない顔してんだろうなぁ。
彼女に対する感情が自分の中で明らかに変化しているのがわかる。
心の奥底にしまっておいた本音を引き出してくれた彼女。
どうしようもない愚痴をただ黙って聞いてくれた彼女。
俺の全てを肯定してくれているように、優しく頭を撫でてくれた彼女。
アイドルのジェクスンじゃなくて、一個人のワン・ガイとして接してくれる彼女。
地位だとか名誉だとか、俺の後ろにあるものには興味なくて。
そもそも、アイドルに興味がないだけなのかもしれないけど。
暖かい陽だまりのような、心地いい存在。
彼女と仲良くなりたい。彼女に近づきたい。彼女を知りたい。
一目惚れだとか、そんな感情が芽生えたわけではない。
それだけは確かに分かる。これは恋なんて簡単な感情じゃない。
だからといって、なんなのか、言葉に表せないけど。
ただ、Aのような存在を俺は欲していたんだ。
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ソル(プロフ) - 凄く面白いです!更新楽しみにしてます! (2017年5月29日 18時) (レス) id: ed08a08e21 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 表現の仕方がすきです。更新待ってます (2017年5月8日 0時) (レス) id: 40f03127af (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮心音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年5月7日 22時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのさん | 作成日時:2017年4月4日 22時