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バーテンダーの格好をしたAはカッコいいと言うより可愛らしい少女であり、エンジェルズシェアでも一際目立っていた。

その隣にはオーナーのディルックが立っている。

異様なその光景にエンジェルズシェアに来る客達は皆口々にその話題で盛り上がっていた。



「なあなあ……あれってもしやディルック様の……」

「ちょっと俺他の奴に知らせてくる!」

「あのディルック様にもやっと、」



今日のエンジェルズシェアは客で満員になるほど繁盛していた。

そんな中、カランカランとベルが鳴る。



「よ、旦那。今日はやけに繁盛してるなあ」

「……また君か」

「ん?ああ、このお嬢さんが今モンドで噂の……」



Aはその者を見てある面影を思い出す。

もしかして、カーンルイアの……



「ガイアさん。彼女は今日入ったばかりなんだ。だから」

「そこはちゃんと分かってるぜ。……ん?どうした?俺の顔に何かついているか?」



Aはじっと見てしまっていた事にはっとして手を横に振った。



『いえ!……昔出会った方に似ていたんです。人違いでした』



Aはひやりとした。

もしかしたらこの方は私の正体を知っているかもしれない。



「午後の死を」

『……!はい!』



Aは頭の中でその考えを捨てる。

今は仕事に集中しなければ。

そんな事を考えていたせいかワイングラスを落としかけ、



『っ!』

「大丈夫かい?高くて取れないものは僕に言うと良い」

『はい、ごめんなさい……』

「謝らなくて良いよ。大丈夫。ここは僕がやろう」



Aは申し訳なく頭を下げる。

その様子を見て頬杖をついたガイアは「ほお……」と口の端を上げた。

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作者名:きの | 作成日時:2022年6月8日 22時

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