心の変化は帰り道から ページ10
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「……あ、そろそろ帰ろっか！」
「…………おー」
何かから逃げるようにツツジの花壇を離れる。
何だか微妙な空気にしてしまったことを反省しながらトボトボと残りの道を歩く。
さっきまで楽しかったのに、また、早く駅に着いてしまえと、今度は川村くんの1歩先を歩いてしまう。
やっぱり川村くんといると良くないな。
なんだか自分の弱い部分ばかり見えてしまう。
あと数メートル歩けばいつもの大通りだと、先に見える景色で理解する。
早くこの道を抜けてしまいたい。
そう思った時、
ふいに、トントンって、まるであの月曜日の朝のように左肩を叩かれる。
「……えっ！？」
振り向くと、川村くんはさっきのツツジを口にくわえながら私にもツツジを差し出していた。
いつの間に摘み取っていたのか。
「…………吸うの？」
川村くんは私の質問には答えず、ん、と顎で私にツツジを受け取るように指示する。
差し出された手から花を受け取ると、川村くんは
「めっっっちゃ、甘い」
口から花を離して、舌をベッと出した。
そんな姿が可愛くて、思わず笑みがこぼれる。
そんな私を見て川村くんはほっとした表情になる。
やってしまった。
急に空気が重くなったから、心配してくれてたんだ。
ごめんね、そう言おうと川村くんの方を向くと、川村くんは私より先に口を開いた。
「勇気なんてそう簡単に消えるもんじゃねーよ」
「え………？」
「何かがきっかけで引っ込んでるだけ」
ツツジごときで何言ってんだと思われたと思っていたけど、川村くんには何か見透かされてるようだった。
仲間外れにされたあの子の姿を思い出しては、嫌なものに蓋をするように生きてきた私を引っ張り出してあげたいと、初めて思った。
意を決してツツジを口にくわえて蜜を吸う。
「…………」
あれ
ツツジの蜜って、こんなんだったっけ。
もう味覚が変わっちゃったのかな。
それとも
「……昔の方が美味しかったな」
そう呟く私を見て笑う
貴方が今日は、隣にいたせいなのかな。
いいのかな
川村くんと、仲良くなってみても。
いいのかな
周りの目を気にしなくても。
川村くんみたいな人と関わりたくないのに
会ったばかりなのに
その気持ちと矛盾するように
だんだん、知りたいことが増えていく。
一歩後ろに下がったり、
前に行ったり、
そんな私に、気がつけば川村くんは
また、影を並べて歩いてくれていた。
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しおり(プロフ) - このお話とってもすきです！続きも楽しみにしています！ (2020年2月9日 20時) (
レス) id: f2d61f7afd (このIDを非表示/違反報告)
kino.(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます(><)！そんな風に受け取っていただけて嬉しいです（ ; ; ）いつものろのろとお待たせしてしまって申し訳ないのですが、これからも見ていただけますと嬉しいです（ ; ; ） (2020年1月5日 14時) (レス) id: ee69af6f8c (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - はじめまして！壱馬くんと主人公ちゃんのやり取りが可愛すぎます！この作品大好きです！更新大変だと思いますが、陰ながら応援しています！失礼しました！ (2020年1月5日 8時) (レス) id: 67f82f89a4 (このIDを非表示/違反報告)
kino.(プロフ) - も。さん» コメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけて凄く嬉しいです（ ; ; ）とてもお待たせしてしまうと思いますが、更新頑張りますのでお時間あります時に覗きにきていただけると幸いです。温かいお言葉にお応えできるように頑張ります(^^) (2020年1月5日 0時) (レス) id: ee69af6f8c (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 初めまして！大学生の設定ですがアーティスト本人の性格がとんでもなくそのまま出ていて、大学生らしい展開にいつも悶えながら読ませてもらっています！無理せずにご自身のペースで更新頑張ってください！本当に大好きなお話で沢山読み返させて頂きます！ (2020年1月4日 22時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kino. | 作成日時：2019年12月13日 21時
