火照る顔を冷ますのは ページ7
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ちゃぽん、と天井から垂れる雫が落ちる。
「……ふぅ」
湯船に浸かる時間が日に日に短くなる。
冬の気配はもうない。
だんだん上着を着なくなって、そろそろ本格的に衣替えをしなければならないな、とのぼせた頭で考える。
回らない頭は、何度も今日のことを思い出させる。
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「ええっ！なんでよ！」
仲良くなるチャンスじゃん！と沙苗は私に詰め寄る。
だけど川村くんが人気者だと知った今、これが私の正直な気持ちだ。
「絶対目立つし、関わりたくない」
「いいじゃん、羨望の的だよ？」
羨望と嫉妬は紙一重だ、と沙苗の言葉を聞いて思い出す。
物心がついた時から今まで、私は今まで周りの人に恵まれていた記憶しかない。
誰とでもそれなりにすぐ親しくなれたし、沙苗も含めて、親友と呼べる友達も見つけてきた。
だからこそ、今でも微かに脳裏に焼きついて離れない。
『ほんっと、男好きだよね、アイツ』
今までの関係が急にひっくり返ってしまう瞬間が。
高校の頃の、なんでもない会話の一部。
私が言われたわけでもないのに。
忘れられない。
人気者の彼と仲良くなったあの子が、一瞬で今までを失った瞬間が。
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「………あっつい！」
ザバっと、勢いよくお湯から抜け出す。
もう頭も身体ものぼせきって肌は赤く色づいていた。
…誰もが人気者といたいわけじゃない。
沙苗が仲良くなりたくっても、私はそうじゃない。
仲良くなれたら、川村くんはそう言ってくれたけど、きっとそんな日はこないだろう。
私は今の、今までの普通の幸せで充分だ。
学校の人気者と課題ができたなんて、ラッキーだった
それだけのこと。
それに人気者なら、来週には私のことなんて忘れてる。
コットンに化粧水を浸して顔にトントンと当てて、その部分だけが熱を失っていく。
ふと
「……まだ明日、火曜日かぁ」
いつもより1週間が長く感じたのは
1日の間にいつもの1週間分と言っても過言ではない量の情報が
私の中に入り込んできたからであって
「……久々にパックでもしようかな」
決して次の月曜日を気にしているわけでは、ない。
「つめたー……」
ひんやりと冷たいパックは火照った顔を無理矢理冷ますのには適役だ。
それから
『……Aちゃん？』
何故か耳から離れない
あの心地よい声をかき消すように
「…………」
大きくも小さくもない音で、曲を流した。
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しおり(プロフ) - このお話とってもすきです！続きも楽しみにしています！ (2020年2月9日 20時) (
レス) id: f2d61f7afd (このIDを非表示/違反報告)
kino.(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます(><)！そんな風に受け取っていただけて嬉しいです（ ; ; ）いつものろのろとお待たせしてしまって申し訳ないのですが、これからも見ていただけますと嬉しいです（ ; ; ） (2020年1月5日 14時) (レス) id: ee69af6f8c (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - はじめまして！壱馬くんと主人公ちゃんのやり取りが可愛すぎます！この作品大好きです！更新大変だと思いますが、陰ながら応援しています！失礼しました！ (2020年1月5日 8時) (レス) id: 67f82f89a4 (このIDを非表示/違反報告)
kino.(プロフ) - も。さん» コメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけて凄く嬉しいです（ ; ; ）とてもお待たせしてしまうと思いますが、更新頑張りますのでお時間あります時に覗きにきていただけると幸いです。温かいお言葉にお応えできるように頑張ります(^^) (2020年1月5日 0時) (レス) id: ee69af6f8c (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 初めまして！大学生の設定ですがアーティスト本人の性格がとんでもなくそのまま出ていて、大学生らしい展開にいつも悶えながら読ませてもらっています！無理せずにご自身のペースで更新頑張ってください！本当に大好きなお話で沢山読み返させて頂きます！ (2020年1月4日 22時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kino. | 作成日時：2019年12月13日 21時
