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〈M side〉
収録を終えて楽屋に戻り、ほっと一息つく。
翔さんが司会を務める番組にゲスト出演。
バラエティ番組に出るのはあまり好きじゃないのに、翔さんがいるだけで少し気が楽になるんだから不思議だ。
巧みなトーク回し、スマートな進行、その飾らない人柄も相俟って、スタッフからの信頼も厚い。
ニュースを読み上げる真剣な姿と、バラエティ番組で眉を下げて豪快に笑う姿。
人当たりが良く、一般人だけでなくて、この業界にも男女問わずファンが多い。
しかし翔さんは驚くほどガードが固く、飲みに誘われても何かと理由をつけて断っているみたいで、そこがまた神聖だとか何とか、もはやアナウンサーの域を超えている。
俺なんかが仲良くしてると知られたら殺されるかもな、と縁起でもないことを考えてしまうぐらいだ。
休憩を挟んでこれからまた撮影があるので台本を眺めていると、睡眠不足が祟ったのか、先程食べた弁当が胃からせり上がってくる感じがして、慌てて近くのトイレに駆け込んだ。
しばらくして吐き気は治まり、出て行こうとした、その時、誰かがトイレに入ってきた。
声で分かる。
今ドラマで共演してる、２６歳と２２歳の俳優２人。
「あいつまだ来てなかったな」
「もう来ないんじゃないすか？俺だったらとっくに逃げてますもん」
「だよな。台本破かれて平気なやつとかいねぇだろ」
「ひゃ〜先輩なかなかに酷いことしますよね」
「提案したのお前だろ」
「あはは、そうでしたっけ？」
…そんなことだろうと思ってたよ。
金曜日、台本がビリビリに破れていた。
同業者に嫌われることは今までにもよくあって、不本意だがちょっとした嫌がらせには慣れていた。
だけど、台本を破かれていたのはさすがにショックだった。
おまけに翔さんに泣き顔見られたし。
彼らは奥の個室が閉まっていることに気付かず、ずっとペラペラ俺をネタにして喋ってる。
「てか、あいつの演技のどこがいいわけ？」
「顔だけっすよ。早く本性暴かれればいいのに」
言いたい放題だな。
「あの、外まで響いてますよ？」
ぼーっと彼らの会話を聞いていたら突然、俺の好きな心地よい声が鼓膜を震わせた。
…最悪。いつから聞いてたんだろ…
情けなくて涙が出てくる。
「…あ、アナウンサーの…」
「櫻井です。はじめまして」
不気味なほどいつも通りのトーン。
一瞬にして空気が変わった。
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希乃(プロフ) - 北嶋 蛍さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけてすごく嬉しいです！頑張ります！ (2020年1月5日 2時) (
レス) id: 2b1adbc3c9 (このIDを非表示/違反報告)
北嶋 蛍(プロフ) - こんにちは、和くんが可愛くて、お話が興味深くて続きがとても楽しみです！これからも頑張ってください！ (2020年1月5日 1時) (レス) id: 3ab18a4c3f (このIDを非表示/違反報告)
希乃(プロフ) - 萌和*さん» はじめまして。そう言っていただけるとすごく嬉しいです。ありがとうございます！これからも応援よろしくお願いします！ (2019年12月29日 19時) (レス) id: 2b1adbc3c9 (このIDを非表示/違反報告)
萌和*(プロフ) - はじめまして。どタイプなお話すぎて一気に読ませてもらいました！続き、楽しみにしてます(^^) (2019年12月29日 18時) (レス) id: 270b2e26c0 (このIDを非表示/違反報告)
希乃(プロフ) - 花想いさん» ありがとうございます！コメントいただけて嬉しいです。これからもかわいい和をたくさん書けるように頑張ります！ (2019年12月25日 15時) (レス) id: 2b1adbc3c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：希乃 | 作成日時：2019年11月6日 23時
