【QK】誰も知らない恋を君と（kwmr） (ページ4)

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2　ニゲラページ4

「また来てしまいました」

『昨日ぶりですね、お疲れ様です。今日はいかがなさいますか？』

この珈琲と本があまりにも魅力的過ぎて、僕はこの店に嵌っているようだ。

「今日もお勧めで」

『わかりました』

いつもワンピースを身にまとう彼女はなんとも可憐な方だと思う。

いつも会話は数えられるほどしかない。

でも、今日は少し彼女のことが知りたい。

いつも通り本を読んだが、今日は何故か集中できない。

珈琲を彼女が持ってきてからを杞憂しているからだろうか。

彼女はいつもと同じように珈琲をテーブルの上に置いた。

「あ、のっ」

思い切って声を掛けた

彼女は目を大きくさせてこちらを見た。

『はい、どうされましたか？』

「すみません、とても個人的な質問なのですが、……」

彼女について知りたいことはたくさんある。

でも、いざと為ればどれも口から出てこようとしない。

「えーっと、僕のこと、知っていらっしゃいますか？」

結局、聞けたのはこんなものだった。

『いいえ、存じ上げません。何か活動をしていらっしゃるのですか？』

「あ、いえ、なんでもないです。」

僕は本を読んだが、まったく内容が入ってこなかった。

「お会計をお願いしても……？」

今日は初めて時間を忘れなかった。

『あら、今日はお早いですね』

「そういう日もあるのです、きっと。明日も同じ本を出していただけますか？」

『んー、本は日替わりですので』

それならば読んでおけばよかったとテーブルの上に置いた本に目をやると、

そこにはもう本が無かった。

『そういう時は縁がなかったんですよ、その本と』

彼女はふふと笑った。

「どうぞ、300円とニゲラです」

『っふふ』

「どうなさいました？」

『面白い文面だと思いまして』

彼女は、ありがとうございました、またお越しくださいと礼をした。

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ニゲラ「秘かな喜び」