【QK】山本君は気づかせたい

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川上 side

夜、Aからラインが来た。



本当なら嬉しいはずのLINEを前にして、


俺はつらかった。



「よかったやん、おめでと」



そう打つだけならたやすかった。



視界が歪む。




おめでとう、A…


本心からは思えなかった。



やっぱり、つらかった。


応援するって決めとったのに、つらかった。



[祥彰君と付き合うことになりました。いろいろとありがとう。拓郎もまた紹介してな！]



たったこれだけ。この３文がこんなにもつらい。





紹介なんて、Aに出来るかよ




大体、そんな人おるわけないやん





[好きだったよ]



これだけ、最後に送った。



これだけは許してほしい。



すっぱり振られたらきっと、俺もあきらめがつくから。






もうこれで忘れるから。



このあまずっぱい感情も、




全部。







メッセージが既読になった。



俺はLINEのトーク画面をただ見つめていた。



一分がこんなにも長いなんて、俺は知らなかった。



白いふきだしが浮かんだ。



[私も昔は好きやってんで。拓郎もそうやったなんて、知らんかったな。]




[拓郎ももういい人見つけとるんやろ？？また紹介してな！気になるし]





俺のメッセージは、古い昔のこととして伝わったようだった。



今更違うと訂正する気もない。




後悔だけがのしかかる。





なんでこんなにも神様は意地悪なんやろな。



俺にもチャンスはあったとか、最後に気づかせるとか



笑っちゃうよな。









…おめでとう、A。



俺も、もう忘れるから。



だから、幸せになれよな、絶対。

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