【QK】山本君は気づかせたい

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あ、、、言ってしまった、、、、、

だけど、音になってしまった言葉を取り消すなんてできるはずもなく、僕はそっと仁部井さんの反応をうかがった。


仁部井さんは涼し気な顔で明るく返した。

「そうですね！一応明後日が満月らしいんですけど、私はこの不完全な感じも好きです」


顔を赤らめることも、動じることもなく、僕の告白のようなものがいつもの会話であるかの様な態度だった。


もちろん、僕は顔中熱くなって、オフィスまで一言も発することが出来なかった。


オフィスに帰った後、福良pに見られている気がしたが、多分気のせいだ。多分。


翌日、冷静になってこの事件を考えてみた。

さんざん考えた結果、僕は３つの仮説を立てた。

１、仁部井さんは、わざと気が付かない振りをした。

２、仁部井さんは、あの一節を知らなかった。

３、仁部井さんは、鈍い。


１はないだろう。振りにしてはあまりにも「気づいていない演技」が巧すぎる。

２も考えにくい。あのフレーズは、今やあまりにも有名になりすぎている。

とすれば、最も有力のなのは３か



確かに、仁部井さんは鈍いかもしれない。

以前、僕が勇気を出して「仁部井さんって可愛いですよね〜」と言ったのだが、

「山本さんはかっこいいですよね〜」と返された。

その時は照れて何も考えられなかったが、今考えたらわかる。


仁部井さんは、社交辞令の心算だったのだろう。


隙を見ては仁部井さんに話しかけに行っているのに、

皆にカフェモカを出すとき、仁部井さんのだけブラックコーヒーにしているのに、

僕もｐｃ眼鏡をかけてみたり、着る服をモノトーンにしてみたり、

なんか色々しているのに、


全く進展がないのは、




仁部井さんが鈍いからなんだ





そうか、なるほどね。

じゃあ、こんな細々したんじゃだめだ。



……いつか絶対に振り向かせる

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