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いま、僕は仁部井さんとカフェに来ている。
仁部井さんは、いつもつけてる眼鏡をはずしていて、雰囲気が違って、なんていうかめっちゃいい感じだった()
いつもは後ろで束ねられている髪はハーフアップにされていて、なんていうかきれいだなって思った。
カフェまでの道を歩いているときも、注文をする列に並んでいるときも、仁部井さんは僕の隣にいた。
こういう時に上手く言えたらいいんだろうけど、僕は緊張してそれどころじゃなかった。
「ご注文をお伺いします。」
『あ、モンブランと、ブラックコーヒーと、あと、プリンで』
「あ、えと、季節のフルーツタルトと、あと、紅茶と、プリンで」
仁部井さんがプリンを好きなことくらい把握済みだから、プリンを頼むのは当然だ。
「わかりました。あと、カップルの方でしたらあちらの席がお勧めでございます。そちらになさいますか?」
カップルじゃないんだよなあ
仁部井さんは嫌な思いをしていないだろうか、とふと気になって横を見ると、
耳を真っ赤にした仁部井さんがいた。
え、意外。
こういうの、てっきり気にしない人だと思ってた。
『あっ、あの……』
仁部井さんがしどろもどろになって、断ろうとするのを見た瞬間、僕はいじわるしたくなっちゃった。
「わかりました!その席にします」
『んえ!』
「だめ……?」
『べっ、、別に、いいけど』
「やったあ!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「このプリンおいしいね〜」
仁部井さんは、さっきからすごく幸せそうにプリンを食べている。
『うん!!めっちゃおいひい!!』
あっという間に、仁部井さんはプリンを食べてしまった。
『なんでこんなに早くなくなるんだよ……』
そう呟いた仁部井さんは、僕のプリンをじっと見ている。
食べたいのかな?
「僕のプリン、食べる?」
『そんな、悪いよ』
口ではそういいながらも、仁部井さんはすごく無念そうだった。
「いいって、遠慮しないで」
僕はプリンを掬って、仁部井さんの方に向けた。
「はい!どーぞ!」
でも、仁部井さんは口を開けるどころか、それを左手で隠してそっぽを向いてしまった。
「え、いらないの?」
『え、、だって、っそれ、かっ、、かんせつっ……』
仁部井さんの言わんとすることがわかってしまった。
仁部井さんは顔中真っ赤で、続く二文字が言えないようだった。
「仁部井さん、もしかして気にしてるの?」
仁部井さんは首まで真っ赤になった。
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キノミ(プロフ) - きゅーり。さん» コメントとてもうれしいです。ありがとうございます。こんな作者ですが気長に見てやってください。 (2020年4月12日 1時) (レス) id: 248af3a7ea (このIDを非表示/違反報告)
きゅーり。(プロフ) - 執筆ご苦労様です。いつも楽しく拝見させて頂いております。次のお話がとても楽しみです。これからも更新楽しみにしています。頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年4月12日 1時) (レス) id: 43974b99c2 (このIDを非表示/違反報告)
キノミ(プロフ) - クロさん» 応援とても嬉しいです。コメントありがとうございます。 (2020年4月12日 0時) (レス) id: 248af3a7ea (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - 更新お疲れ様です。続きめちゃくちゃ気になります…!応援してます! (2020年4月11日 21時) (レス) id: 1340a6aafd (このIDを非表示/違反報告)
キノミ(プロフ) - わかれどころ。さん» コメントありがとうございます。拙い文章ですが、どうぞお付き合いください。 (2020年4月4日 17時) (レス) id: 248af3a7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キノミ | 作成日時:2020年3月31日 22時