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「A、帰ってええの?」

俺らは東京へ向かう電車に揺られていた。

『うん、大丈夫。もう吹っ切れたからさ。』

Aはへへ、って俺から顔を背けながら笑った。


Aが無理しているときの笑い方だ。


「……山本と、なんかあったん?」


『んえぇ!ようわかったな』


やっぱ拓郎にはお見通しやんなぁ、そうつぶやくAはすごく悲しそうだった。


あぁ、そっか、Aは、山本を好きになってしまったんやな


……俺はどこで何を間違えたんやろ


俺にはAを振り向かせられんかった。



俺なら絶対幸せにすんのになぁ、なんて典型的なセリフを思い浮かべては頭から消した。




「データ消した犯人、白波さんやと思う」

『え、なんで??口元ゆがめてんの見えてたん?』

「……まぁ、色々とな」

「証拠が見つかればいいねんけど」

『せやけど……んー、私は別にいいかな』

「え??なんで」


『山本君が、悲しむやろ?』


「……は、?」


『やから、いい』


何を言っているのか全く分からない。


なんでここで山本が悲しむことになってるん?


『山本君、……元気?』


「んー、最近ずっとぼーっとしとるよ」


『ふーん、そっか』


「なぁ、Aはなんで山本が好きなん?」

俺は気になって、うっかり口を滑らせてしまった。


『え、なんで知っとんの!!』



「んー、勘?でも、そのリアクションは、あってるリアクションやろ?」


『うわ、やられた』


『そうやなー、すごい気遣ってくれるとこかな。後、私のことを真剣に知ろうとしてくれたとこ。それと、私を型に押し込もうとせんところかな』


聞いててこんなつらくなるってわかっとったら、聞かんかったのに。



山本と俺と何が違うん?



どうしたら、Aは振り向いてくれる??


でも、もうどうしようもない。


今考えたところで、もう全部手遅れなんだ。




Aは山本が好きで、山本はAが好きで、俺はAの一幼馴染でしかない。



それでも、俺はAが大切だ。


だから、なんとしてでも一連の事件の犯人の証拠を見つけ出す。



それが、俺に出来ることやから。

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キノミ(プロフ) - きゅーり。さん» コメントとてもうれしいです。ありがとうございます。こんな作者ですが気長に見てやってください。 (2020年4月12日 1時) (レス) id: 248af3a7ea (このIDを非表示/違反報告)
きゅーり。(プロフ) - 執筆ご苦労様です。いつも楽しく拝見させて頂いております。次のお話がとても楽しみです。これからも更新楽しみにしています。頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年4月12日 1時) (レス) id: 43974b99c2 (このIDを非表示/違反報告)
キノミ(プロフ) - クロさん» 応援とても嬉しいです。コメントありがとうございます。 (2020年4月12日 0時) (レス) id: 248af3a7ea (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - 更新お疲れ様です。続きめちゃくちゃ気になります…!応援してます! (2020年4月11日 21時) (レス) id: 1340a6aafd (このIDを非表示/違反報告)
キノミ(プロフ) - わかれどころ。さん» コメントありがとうございます。拙い文章ですが、どうぞお付き合いください。 (2020年4月4日 17時) (レス) id: 248af3a7ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キノミ | 作成日時:2020年3月31日 22時

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