【QK】山本君は気づかせたい

13　仁部井さんとハプニング ページ15

「あれぇっ！私が書いた記事が消えてる！！」


土曜日の朝。


美海の金切り声がオフィスに響き渡った。


今日は山本君と編集長がお休みの日だ。

「あれー、おかしいな。下書きを保存するときに不具合でもおこったのかな」

福良pが両手を首にあてながら呟いた。


「えぇ……すっごくがんばってかいたのにぃ……」
美海は悲しそうに頬を膨らませた。


「んー、バックアップとかはとってなかったの？」

「まさか消えるなんて、思ってもなくって……」


「あーぁ……。かなしいなぁ……。」


そうつぶやいた美海に、その場にいた誰もが同情したと思う。

がんばって書いた記事が消えたときの悲しさと言ったらならない。


「これ、あげましょうか？」

河村さんがパインアメを差し出している。


「これあげるから、元気出して」

福良pが笑顔でポテチを差し出している。


「このチョコ、マジでおいしいから！あげる！」

こうちゃんが仮面ライダーフィギュア付きチョコ(フィギュア無し)を差し出している。


「ナイスガイはこれだ！」

ナイスガイはグミを差し出している。


『じゃ、私はこれあげる！』

私は、美海にプリンを差し出した。



「えへへっ、みんな、ありがとぉ！」

美海は嬉しそうに笑いながら受け取った。

クイズノックのこういうところが好きなんだよなぁ

と思ったとき、私は気づいてしまった。

あれ、川上だけ会話に参加してないな。



そうか、きっと記事の作成に集中しているんだろう。



美海も復活したみたいだし、良かった。

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