43話 ページ48
「駄目です」
「ん？きみ、駄目と言ったのか？」
「ええ。駄目です」
鶴丸が絶句したのが分かった。
仕方ない、しっかり考えてこの結論だ。
「理由くらいは言っておきましょうか、簡単なことです。貴方が私の元に来てしまえば、ろくなことがないからです。貴方にとって」
「ろくなことがない？
いや、良いことずくめなんだがな」
嗚呼、全くもって彼は分かっていない。
私の仕事は政府公認頼まれ屋。
ブラック本丸からやってきた刀を、出陣を知らない刀を、世間を知らない刀を置いておくわけにはいかない。連れて行ったところで、この恐ろしい戦で心が死んでしまうかもしれない。
それを一応伝えたが、鶴丸は折れない。
余程、現状に飽きていたのかな。
「俺はもう覚悟ができているんだ。折れようが錆びようが、それはもう俺の勝手だ。きみは何も関係ないんだ。俺を連れて行ってくれれば」
「それは連れて行ってしまった私の責任となりますし」
「……なぁ、俺の気持ちも少しは聞いてくれないのか？」
「申し訳ないのですが、はなから貴方を連れていく気は……」
彼のような美しい刀だ、貰い手はすぐに見つかるだろう。譲渡先が三つともブラック本丸だったことは仕方ないが、最近はブラック本丸もだんだん減ってきている。
……私のもとに来ても
辛い過去をふとした瞬間に
思い出すのだろう？
それが嫌なんだ。
岩融も同じように否定したというのに……どうも平安刀は頑固なところがあるみたいだ。
「俺は諦めないぜ。きみに連れて行ってもらうまで此処で粘る予定なんだからな。というか、何故岩融はよくて俺は駄目なんだ？同じ平安の刀、ましてや五条と三条だろ」
「鶴丸国永」
「……なんだ？俺を連れていく気になったか？」
「少し、私のほうから。いいですか？」
こくりと頷いて、鶴丸は口を閉じた。
嗚呼、もうこうなったら、この頑固な彼に何度でも言い聞かせてやるしかない。
結果がどうなろうと、それが私の意志だ。
……意思を持てるというのは、幸せだな。
ふとそう思えるのも、まぁ、幸せなことか。
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アヅマ(プロフ) - 浅葱さん» コメありがとうございます。そのお言葉がとても嬉しいです・・・！岩融も他の刀たちも格好良くかけるように頑張りたいと思います！ (2017年1月8日 18時) (
レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - とっても面白いです更新頑張って下さい♪( ´▽｀) (2016年12月30日 11時) (レス) id: d80fc865bb (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - マキーさん» コメありがとうございます。岩融かっこいいですよね・・・最近レベル90超えました((続きを待っていてくださって嬉しいです。更新頑張ります！ (2016年11月13日 17時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
マキー - 面白かったです!岩融いいですよね。更新頑張ってください、続き凄く楽しみにしています!! (2016年11月12日 13時) (レス) id: 2e62f948f5 (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - ☆NATU☆さん» コメありがとうございます。更新停滞気味ですが、頑張ります！応援嬉しいです・・・！ (2016年10月2日 21時) (レス) id: bb6b05b55f (このIDを非表示/違反報告)
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