37話 ページ42
「最初は調べろ、分かれば振るえ。その時は容赦はいらぬ。いいな？武蔵坊弁慶の薙刀よ。お前さんならそれを分かっているはずだ」
そのわざとらしいセリフが
発せられたと同時に
俺の目の前に立っている人の頭から
ブチン、という音が
かすかに聞こえた気がした。
……嗚呼、気のせいだと思いたい。今の話で主の堪忍袋が完全に切れたということを。とりあえず返事を返し、ここぞとばかりに走る彼女の後を追う。
「がはははは！まずは俺から倒そうぞ！
主は違えど所詮は自分。貴様も分かっているはずだ！」
ふわり、と紫色の袈裟が宙に舞った。
最初に刃を突きつけることになる相手がまさか自分だとは思わなんだが……まあ、そんな細かいことは気にする必要はない。
そう、相手は俺なのだ。
自分と戦う、ということは、自らの戦闘の形が相手にも筒抜けということ。それは俺も同じ。ひとつ違うのは、目の前の俺は勝てるという自信に溢れていることだろうか。
きっと、俺に考えを見透かされたうえでも勝てると奴は踏んでいる。それほどまでに自分の強さを信じきっているというのか。……嗚呼、俺がそう考えていることも筒抜けかな。
「左様。貴様は俺だ」
「何を当たり前のことを言う。
貴様の行動は俺に筒抜けだろう？まぁ、俺もだが」
「おう、そうだな。だが……いくら俺であっても、貴様にも読み取れないことはある。こうやって睨み合うよりも、刀を交わしてそれを見てみればよいのではないかな？」
「……何が言いたい」
いくら目の前の敵が自分であろうとも。
貴様に読み取れることなど、限られている。
証拠ならある。
それは俺が今持っている、唯一の取り柄。
もう、今の俺は俺ではない。
豪放磊落な薙刀である、岩融ではない。
でも、俺は
「俺は武蔵坊弁慶の薙刀だ。
だが今は……俺は、今の主の薙刀だ!!
つくづく自らの運の強さを恨む！
だから俺は貴様を狩ってみせよう!!」
言いたいことはそれだけか、とでも言いたげに
相手が薙刀を振りかぶる。
はは、
全く……面白くなってきたなぁ！
「そうだ！俺を楽しませろ！」
「それは俺の台詞だ！貴様こそ、俺を楽しませろ！」
矢張り相手も自分なのだと
一瞬、悟ってしまったように思った。
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アヅマ(プロフ) - 浅葱さん» コメありがとうございます。そのお言葉がとても嬉しいです・・・！岩融も他の刀たちも格好良くかけるように頑張りたいと思います！ (2017年1月8日 18時) (
レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - とっても面白いです更新頑張って下さい♪( ´▽｀) (2016年12月30日 11時) (レス) id: d80fc865bb (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - マキーさん» コメありがとうございます。岩融かっこいいですよね・・・最近レベル90超えました((続きを待っていてくださって嬉しいです。更新頑張ります！ (2016年11月13日 17時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
マキー - 面白かったです!岩融いいですよね。更新頑張ってください、続き凄く楽しみにしています!! (2016年11月12日 13時) (レス) id: 2e62f948f5 (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - ☆NATU☆さん» コメありがとうございます。更新停滞気味ですが、頑張ります！応援嬉しいです・・・！ (2016年10月2日 21時) (レス) id: bb6b05b55f (このIDを非表示/違反報告)
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