31話 ページ34
ブラック本丸。
聞き慣れたような、慣れていないような。そんな言葉が目の前の審神者から飛び出してきた。今、こやつはなんと言った？俺がその、ブラック本丸に居たというのか？
嗚呼、そうか。
「前々から……何かを忘れているような気がしていた。俺は、これを忘れていたのか」
口から言葉が溢れ出す。
俺は元々、ブラック本丸に居たのだ。
走馬灯のように記憶が駆け巡り始めた。
疲れきるまで出陣をさせられ、やっとの思いで帰ってきたらあやつに「飽きた」と言われた。目の前で重症の乱藤四郎が折れた。一期一振が一日中、湿った部屋で泣いていた。三日月宗近が小狐丸と声をひそめてあやつを倒そうと呟いていた。そして
今剣が折れた。
嗚呼、助けなければならぬか。
今剣よ、もう少しの辛抱だ。俺が助けてやろう。そしてまた、共に笑い合おう。ふむ、どうやったら助けられるのだろうか。そうだ、今剣がまだ居たころに、戻れば
「ッ!!?」
「……歴史を変えてどうする。
岩融。両手を見るんだ。はやく」
目の前で火花が散った。
どうやら主が俺を強烈に殴ったらしい。
はっと気がついて自らの両手を見つめる。黒い手袋の下からでも分かる邪気。それが、俺の手から出ていた。紛れもなく、それは俺の手だというのに、何故このようなものが？
震える手で、片方の手袋を取った。
なにもないはずの手の平に広がっていたのは
刀剣男士が、倒すべき存在のもの＿＿
「それは、歴史修正主義者の気……ですね」
「岩融の手から……出てるのか」
俺とて、これは不思議だ。
歴史を変えたいなどと、思ったことは一度もない。
……いや！
だとしたら、さっきの幻影はなんだ？
さっきの記憶はなんだ？
もしも主に殴られていなかったら、俺は……歴史修正主義者に？ありえぬ、そんなことがありえるはずがない。だが、俺は、岩融は、武蔵坊弁慶の薙刀は、嗚呼、一体
「……俺は、誰だ？何故、此処にいる？
歴史は、変えてはいけないものであろう？」
冷や汗が止まらない。
嗚呼、分からない。いつから俺はこうなった？
全くもって、見当もつかない。
でも、一つだけ分かったぞ。
自らの中に恐ろしいものが居ることだけは
とても、よく分かった。
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アヅマ(プロフ) - 浅葱さん» コメありがとうございます。そのお言葉がとても嬉しいです・・・！岩融も他の刀たちも格好良くかけるように頑張りたいと思います！ (2017年1月8日 18時) (
レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - とっても面白いです更新頑張って下さい♪( ´▽｀) (2016年12月30日 11時) (レス) id: d80fc865bb (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - マキーさん» コメありがとうございます。岩融かっこいいですよね・・・最近レベル90超えました((続きを待っていてくださって嬉しいです。更新頑張ります！ (2016年11月13日 17時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
マキー - 面白かったです!岩融いいですよね。更新頑張ってください、続き凄く楽しみにしています!! (2016年11月12日 13時) (レス) id: 2e62f948f5 (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - ☆NATU☆さん» コメありがとうございます。更新停滞気味ですが、頑張ります！応援嬉しいです・・・！ (2016年10月2日 21時) (レス) id: bb6b05b55f (このIDを非表示/違反報告)
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