3話 ページ4
「なるほど。それで此処に来た、と」
「はい、そうなんです」
「話には聞いていたとしても、実際にあるとはな。見習いによる乗っ取りなんて、ほんの1年前には話題にもなっていないだろう?」
「そうだな」
顔を俯かせながら
座布団に腰かけている今回の依頼人は
審神者をやっていて、大学に行こうと勉強もしているマジメな女性だ。そんな山崎さんの本丸は霊力の高さ故に、政府にも一目置かれていたそう。
ところが、政府が見習いの少女を派遣したところから状況は一変。勉強にのめりこんでいた彼女がふと気づいた時には、刀剣男士全員が自分に刀を突き付けていたという。
「刀剣の面倒も見られないヤツは
この本丸にはいらない」
面倒を見てやれなかった自分への罪悪感と、自分に振りかかるはずはないと信じ込んでいた乗っ取りで、山崎さんは心に傷を負った。
そうして、彼女はここに来たという。
「此処のことは何処で知ったのですか?」
「友人が以前、本丸関係のトラブルは此処に持ち込むと解決してくれると言っていて……。それで、家出と押しかけ同然で来てしまいました」
「ふむ、なるほど」
「なので、お願いします!
私の本丸を、取り戻すのを手伝ってください!」
声を荒げてこちらを見た山崎さんの頬に、水が滴り落ちる。
嗚呼、この人こそ、審神者に向いている人だ。刀剣男士を愛していて、それに危害を加える者には容赦しないのだ。
これこそが、歴史修正主義者と戦う
刀剣男士達の主としての素質、だよなぁ。
……よし。久々に本気を出すか。
「分かりました、状況も聞きましたしお引き受けしましょう。それでは私達と一緒に政府に出向きますかね。岩融、準備頼むよ」
「おう、主が本気を出したな!」
「……えっ?」
きょとんとした顔の山崎さん。
此処は一応政府公認だし、政府には知られておいたほうがいい。乗っ取りとなると尚更だ。解決した後の処理だとか、そこまで私達がやるわけにはいかないのだ。
そこまで山崎さんに説明したところで
岩融が大きい鞄を持ってすっと現れた。
いつ見ても私の友人は荷物持ちに適している。
あとでかいのに足音がしない。雅だ。
「よし、出陣だな!!」
「行きますか」
「は、はい!」
政府公認頼まれ屋、
久々に、本気を出すか。
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アヅマ(プロフ) - 浅葱さん» コメありがとうございます。そのお言葉がとても嬉しいです・・・!岩融も他の刀たちも格好良くかけるように頑張りたいと思います! (2017年1月8日 18時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - とっても面白いです更新頑張って下さい♪( ´▽`) (2016年12月30日 11時) (レス) id: d80fc865bb (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - マキーさん» コメありがとうございます。岩融かっこいいですよね・・・最近レベル90超えました((続きを待っていてくださって嬉しいです。更新頑張ります! (2016年11月13日 17時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
マキー - 面白かったです!岩融いいですよね。更新頑張ってください、続き凄く楽しみにしています!! (2016年11月12日 13時) (レス) id: 2e62f948f5 (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - ☆NATU☆さん» コメありがとうございます。更新停滞気味ですが、頑張ります!応援嬉しいです・・・! (2016年10月2日 21時) (レス) id: bb6b05b55f (このIDを非表示/違反報告)
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