27話 ページ30
あれはそう……
何年前だったかは忘れたが
私がまだほんの子供だったころだ。
岩融には言ってあるとおもうが
私は生まれつき、刀に宿る付喪神が見える体質だった。
……まぁ分かりやすく言おう。
顕現されていない付喪神が見えていたのだ。
それを覚えておいて、この話を聞いてほしい。
私は小さい頃の記憶がほとんどない。
気がついたら自我が生まれていて、
気がついたらそこにいた、という感じで
私の記憶は始まっている。
ひとりぼっちだった。親も兄弟もいなかった。
嗚呼、気にする事はないよ。
それはそれで楽しかったんだ。
偶然通った農家の人間に拾われて
そこでしばらく過ごしていた。
今も私の腰に吊っている刀は
名無しだが、その時に拾ったものだ。
うむ、私も名刀だと思うぞ。
おっと、長谷部の話だったな。
私はあのとき、自分を養ってくれる人に迷惑をかけたくなくて、とある感情を押し殺していた。分かると思うが、それは「家族がいない寂しさ」だとか「同胞がいない悲しさ」だったな。
ある時、その感情がぶわっと溢れた時があったんだ。
誰にも相談できなくて、森へと走った。
何故森だったのかは今でも謎だ。
もしかすると彼と私を結び付けてくれたのかもしれない。
散々泣きながら走って
ついに疲れてその場に座り込んだ。
潤む目で辺りを見渡すと、一振りの刀が切株の上に放置されていたんだ。とても綺麗な刀だった。誰かが使っていたのだろうか……と、不思議に思った。
それを思わず手に取った瞬間
「まさか、幼子の手に取られるとはな」
「うわぁっ!?誰……?」
季節はずれな桜が舞って
切株の上に、さっき手に取った刀を腰に差している、半透明な男が足を組んで尊大な態度で座っていた。私の手にも同じ刀。その時は訳が分からなかったっけなあ。
美しい藤色の瞳をしたその男は
「……へし切長谷部だ」
呆れたような表情で自己紹介をした。
初めて聞いたその名前に
なんだか知らないが、感銘を受けた。
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アヅマ(プロフ) - 浅葱さん» コメありがとうございます。そのお言葉がとても嬉しいです・・・!岩融も他の刀たちも格好良くかけるように頑張りたいと思います! (2017年1月8日 18時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - とっても面白いです更新頑張って下さい♪( ´▽`) (2016年12月30日 11時) (レス) id: d80fc865bb (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - マキーさん» コメありがとうございます。岩融かっこいいですよね・・・最近レベル90超えました((続きを待っていてくださって嬉しいです。更新頑張ります! (2016年11月13日 17時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
マキー - 面白かったです!岩融いいですよね。更新頑張ってください、続き凄く楽しみにしています!! (2016年11月12日 13時) (レス) id: 2e62f948f5 (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - ☆NATU☆さん» コメありがとうございます。更新停滞気味ですが、頑張ります!応援嬉しいです・・・! (2016年10月2日 21時) (レス) id: bb6b05b55f (このIDを非表示/違反報告)
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