24話 ページ26
「はぁー……」
背中にいる主のため息が、俺の首筋をくすぐった。あの後、政府が三人の男を連行していき、応急手当てをされた主は二時間ほどの長い長い取り調べを受けた。もう空は橙色に染まっている。
外で待っている俺は
退屈で退屈でたまらなかったぞ。
「一段と疲れているな、主」
「そりゃね。あんなに問いただされるなんて」
ぼそりと呟く主の手が
目の前でゆらゆらと動く。
怪我人に取り調べをさせるなと俺は申し出たのだが、主は仕方ないと言いきって行ってしまった。なんとか終わった、と言って主がふらふらと此方に歩いてきたときは肝が冷えたものだ。
いや、それよりも。
「あの一撃は、本気だっただろう？主」
「そうだな、あれは手加減しなかった」
「……いやはや、主はやはり俺を楽しませてくれるな。どちらかというと肝が冷えたが」
「ははっ、悪かったよ。
久々に殺気というものが湧いてな」
黙って頷き、上を眺めると
月が昇り始めたのが見えた。
もう辺りは真っ暗で
ぽつぽつと街灯の明かりが見える。
……あの時、俺は初めて、主が手加減もせずに敵に斬りかかるのを見たのだと思う。未だ頭の整理は追いついていないが、これだけは分かる。
「やはり主は並大抵の人間ではないな」
「ふむ、どうしてそう思う？」
「この俺を前の主と同じように振るうからだぞ」
ははは、と主は楽しそうに笑った。
主が心から楽しそうに笑うのを見るのは、とても楽しかったりする。主は人前ではあまり笑わない。いや、愛想笑いはしているが、大体が無表情だ。
つまり……俺は主にとって大事な存在、なのだろう。
考えすぎかな？
いや、それぐらいしても罰は当たらぬか。
うむ、なんとなくいい気分だ。
「もうそろそろだな！走って帰ってやろうか？」
「じゃあそうしようか」
「ああ。行くぞ！」
俺の背中に掴まる手の感触を確かめながら
玄関にかかっている提灯の
ぼんやりとした明かりめがけて
俺は晴れ晴れとした気持ちで
足を一歩前へと踏み出した。
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アヅマ(プロフ) - 浅葱さん» コメありがとうございます。そのお言葉がとても嬉しいです・・・！岩融も他の刀たちも格好良くかけるように頑張りたいと思います！ (2017年1月8日 18時) (
レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - とっても面白いです更新頑張って下さい♪( ´▽｀) (2016年12月30日 11時) (レス) id: d80fc865bb (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - マキーさん» コメありがとうございます。岩融かっこいいですよね・・・最近レベル90超えました((続きを待っていてくださって嬉しいです。更新頑張ります！ (2016年11月13日 17時) (レス) id: 721b990030 (このIDを非表示/違反報告)
マキー - 面白かったです!岩融いいですよね。更新頑張ってください、続き凄く楽しみにしています!! (2016年11月12日 13時) (レス) id: 2e62f948f5 (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - ☆NATU☆さん» コメありがとうございます。更新停滞気味ですが、頑張ります！応援嬉しいです・・・！ (2016年10月2日 21時) (レス) id: bb6b05b55f (このIDを非表示/違反報告)
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